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 一般財団法人マルチメディア振興センターでは、ICT分野の発展に資することを目的として、ICT分野の政策・制度整備、市場開拓・拡大、技術発展、社会での利活用といった視点からテーマを設定して、調査研究を行っています。主要な研究テーマについては、研究報告書としてとりまとめ、公開しています。これらの研究報告書はこちらからダウンロードすることができます。

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2013.10.01

  • 最新研究
  • 藍沢 志津
  • 高橋 幹
  • 木賊 智昭
  • 黒川 綾子

諸外国におけるM2Mサービスの現状と課題

 本調査は、センサー/機器/装置等が直接通信し相互に情報交換する「M2M」(Machine to Machine)サービスが、新たな通信市場として成長が期待されているところに注目し、海外の通信キャリアが提供しているM2Mサービスの特徴及びビジネス戦略の実態を明らかにすることを目的としている。欧米地域を中心に、M2M分野に関連する政策動向、各国通信キャリアのサービスの現状や取り組みに関する情報を収集・分析するとともに、今後の課題やビジネスの在り方に展望を得ることに努めている。

 第1章では本調査の意図を確認し、続く第2章では、M2Mサービスの市場状況、技術概要、サービス概要など基本事項を整理している。まず、M2Mサービスを、モバイル・サービス市場の今後の成長を牽引するサービスの一つとして位置付け、従来、サービスが停滞していたM2Mが成長局面へ転換する要因として、新通信技術(Bluetooth、Wi-Fi、RFID)の規格の普及、モジュール等のデバイスの低廉化、サービス対象の拡大(B2B2C等などの市場拡大)、多デバイスからの集積データを統合することによる新サービス提供への志向などを取り上げる。技術面では、M2Mの構成技術を、センサーと通信モジュール、通信ネットワーク、プラットフォーム、アプリケーションの4つのレイヤーに分けて、それぞれの技術的特徴等を確認するとともに、モジュールやプラットフォームに関しては、主要ベンダーの業務などにも言及している。また、アプリケーションについて、監視、エネルギー、ヘルスケア、自動車・運輸、コマースの各分野で活用されている主要なM2Mサービス内容を確認し、通信ネットワークについては、利用される通信技術(WiFi、PLC、NFC、セルラー)の優位/不利点を、帯域、セキュリティ、距離、料金等の点から明らかにし、各技術特性に応じたアプリケーションを整理している。

 第3章では、M2Mの標準化の動向及び欧米における政策の動向を調査する。標準化については、ITU及びETSIの活動内容を整理し、更に、プラットフォームの共通化を意欲的に進めるETSIが主導する欧米7標準化機関の団体oneM2Mの活動内容やETSIのM2M標準との互換性を基本に標準化を進める3GPPの活動内容を調査している。
 政策面では、米国・欧州(EU、英国、独国、仏国ほか)におけるM2M関連政策の内容や特徴を調査している。全般的に、医療分野など特定分野におけるM2M利用促進などの周波数政策、経済成長政策やICT国家戦略などにおけるM2M振興政策など、幅広い政策的取組みが実施されていることを明らかにしている。国別では、米国においては、経済再生の一環としてスマートグリッドやモバイル・ヘルスへの財政支援が実施されているほか、医療用途に特定の周波数帯域を専用に分配する政策が実施されている。英国でもホワイトスペースを利用してM2Mの開発を促している。ドイツ、フランスでは国家のICTプロジェクトにM2Mを組込み、イノベーション図っているほか、フランスではSIM番号管理に関する政策が進められている。また、EUレベルで、M2M分野におけるプライバシー保護に関する制度作りが進められているほか、eCallやスマートメーターの導入の義務化がM2M導入を促進している。

 第4章では、欧米の主要通信キャリアのM2Mサービス動向を明らかにする。AT&T、ベライゾン、スプリント、BT、ボーダフォン、ドイツテレコム、フランス・テレコム、ブイグ・テレコム、SFR、テレフォニカを対象に、M2Mの戦略的位置づけ、提供サービス内容、パートナー戦略、料金などを調査している。一般的に、通信キャリアは現在、M2Mを次世代の主力通信サービスとして位置付け、大容量伝送、長距離伝送、セキュリティ確保のキャリア固有の利点を生かしたM2Mサービスを運輸、スマートメーター等の公共事業、医療の各分野において進めている。
 通信キャリアによるM2Mサービスの内容は、通信インフラの提供のみではなく、カスタマーニーズに応じて、デバイス端末、プラットフォーム、アプリケーションを組み合わせたソリューション型のサービスの形態で提供されている。ビジネス・モデルとしては、①エンドユーザーに対し、通信インフラ、プラットフォーム、アプリケーションをパッケージにして提供する「小売型」、②アプリケーション事業者に対し、通信インフラ、プラットフォームをパッケージ化して提供する「卸売型」モデル、などがある。通信キャリアが単独でM2Mサービスの対価を得るよりもプラットフォームやアプリケーション分野のパートナーとのビジネス連携を確保し、ユーザー・ニーズに十分に対応することが競争力を支える要因になっている。また、ユーザー・ニーズへの効果的対応を図るため、多くの通信キャリアがM2Mサービス専門のコンサルティング業務を強化する組織づくりを進めている。

 第5章では、M2Mをめぐる今後の通信キャリアのあり方を、組織、パートナーシップ、プラットフォーム、料金の面から展望する。組織については、M2Mを推進する組織として、専門部署を設置することで、サービスに関する迅速なサービス開始を可能とする。特に、アプリケーションが多様かつ断片化(fragmentation)が進んでおり、カスタマーの個別のニーズに対応するコンサルティング体制の構築が重要である。パートナーシップについては、M2Mの場合、ネットワーク接続、アプリケーション等のサービスを含むソリューション型サービスの提供が展開される。このため、デバイス、プラットフォーム、アプリケーションの連携を図るエコシステムの構築が重要である。米国の場合、オープンネットワーク・ポリシーによりM2Mデバイス/アプリケーションの認証等を各社独自に行っているが、時間的短縮によりより迅速なサービス開発のため、認証手続きの合理化と認証の事業者間の共通化等が求められている。パートナー協定の内容は多様(ライセンス、収入分配等)であり、個々の業務の協業により全体の収益が上がり、個別収益率の上昇につながる協定内容を検討することが必要である。プラットフォームについては、全てのアプリケーションに対応する共通プラットフォームを構築することで、個々のアプリケーション対応に費やされる業務コストを削減することができる。料金については、料金収入は、端末当たりのデータトラフィックは小さくなる傾向にあり、より多くのデバイスをネットワークに取り込むことが目指される必要がある。従来の利用者当たり収入では、端末と利用者が一体一対一で対応している構造となっており、今後は加入者と端末を分離させ、スプリントの様に1利用者対多端末の料金構造に変更し、アカウント当たり収入を業務評価の単位にするなど、従来のビジネス手法をM2Mのサービス構造に対応させていくことが重要である。

【目次】
第1章 はじめに

第2章 M2Mをめぐる市場環境
2-1 市場規模
2-2 M2Mサービス概要
2-2-1 定義
2-2-2 M2Mアプリケーション概要
2-2-3 M2Mのサービス・レイヤー
2-3 M2Mサービスにおける通信キャリアのビジネス・ポジション

第3章 M2M関連の標準化・政策動向
3-1 標準化の動向
3-1-1 ITU
3-1-2 ETSI
3-1-3 oneM2M
3-1-4 3GPP
3-2 政策・規制動向
3-2-1 米国
3-2-2 EU
3-2-3 英国
3-2-4 フランス
3-2-5 ドイツ

第4章 通信キャリアのサービス動向
4-1 ベライゾン(米国)
4-2 AT&T(米国)
4-3 スプリント(米国)
4-4 ボーダフォン(英国)
4-4-1 ボーダフォンのM2M事業
4-4-2 ボーダフォンのM2M事業体制
4-4-3 ボーダフォンのM2Mソリューション
4-4-4 パートナー企業
4-5 BT(英国)
4-6 ドイツテレコム(独国)
4-6-1 M2Mへの取り組み
4-6-2 ドイツテレコムのM2M導入事例
4-6-3 買収&提携動向
4-7 フランス・テレコム(仏国)
4-7-1 オレンジ・ビジネス・サービス
4-7-2 オレンジ・ヘルスケア
4-8 SFR(仏国)
4-8-1 SFR概要
4-8-2 M2Mサービス提供体制
4-8-3 パートナー企業
4-9 ブイグ・テレコム(仏国)
4-10 テレフォニカ(スペイン)
4-10-1 テレフォニカ概要
4-10-2 M2Mサービス提供体制
4-10-3 提供ソリューション例

第5章 まとめ-展望と課題


【執筆担当】
・情報通信研究部 藍沢志津(3-1、3-2-3、4-4、4-5 担当)
・情報通信研究部 黒川綾子(3-2-4、4-7、4-8、4-9、4-10 担当)
・情報通信研究部 高橋 幹(3-2-5、4-6 担当)
・電波利用調査部 木賊智昭(第1章、第2章、3-2-1、3-2-2、4-1、
4-2、4-3、第5章 担当)