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2022.03.15

  • リサーチレポート
  • 米谷 南海

ロシアのウクライナ侵攻とICT分野の動向(前編)

一般財団法人マルチメディア振興センター(FMMC)
ICTリサーチ&コンサルティング部 チーフ・リサーチャー 米谷 南海

2022年2月24日、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が開始された。ロシアは軍事侵攻ではなく、ウクライナの非武装化及び非ナチス化のための「特別軍事作戦」であると主張しているが、ウクライナ非常事態庁によれば、3月2日までの1週間で2,000人以上の民間人が死亡し、交通インフラや住宅のほか、病院や幼稚園を含む多くの民間施設が破壊された。また、人口4,200万人のウクライナから国外に逃れた難民の数は87万人に上り、欧州では第二次世界大戦以降最大数となった 。一方、ロシア国防省が発表したところによると、ロシア軍の戦死者は498人、負傷者は1,597人となっている 。両国は2月28日、3月3日、3月7日に停戦交渉、3月10日に外相会談をそれぞれ実施したものの、停戦に向けた条件の隔たりは大きく、事態打開の見通しは立っていない。犠牲者や難民は今後も増え続ける見込みだ。
新冷戦の加速や第三次世界大戦への発展を危惧する向きもある中、西側諸国はウクライナ支持を表明、同国への支援を実施するとともにロシアに対する制裁措置を講じている。ウクライナへの寄付金や救援物資、武器の供与が行われている一方、ロシアに対しては領空閉鎖や輸出規制、金融制裁等が発動されている。中立国であるスイスやスウェーデンも、前例のない侵攻がこれまでの立場を変えたとして、西側諸国と同調する対応に踏み切った。
今回のウクライナ侵攻は世界経済や安全保障のみならず、スポーツ、文化、エネルギー、ICTといった多様な分野に影響を及ぼしている。特に現実空間の侵攻にサイバー戦や情報戦といった非軍事手段が組み合わさったハイブリッド戦争(Hybrid Warfare)が展開されていることから、ICT分野は特に大きなインパクトを受けた分野の一つだと言える。そこで本稿では、雑駁ではあるが、ロシアのウクライナ侵攻を巡りICT分野にどのような影響が生じたのか、3月11日までの動きをまとめた。前編では、サイバー攻撃、情報戦と虚偽情報、宇宙産業について取り上げる。

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