[HTML]
H1

調査研究成果

お知らせカテゴリー表示
リサーチャー名選択
お知らせ表示

2020.10.01

  • 最新研究
  • 上田 昌史

デジタル・プラットフォーム時代における個人に係るデータの収集とその流通促進に関する研究

 本報告書では、デジタル・プラットフォーム(DPF)への取引集中に問題があると欧米や日本の政府は考えているが、 既存の競争法で対応できないため、対策や法整備が後追いとなっている現状を確認した。
そのため、本研究ではDPFと個人に係る情報についての調査・研究を行うことで、今後のDPF規制等の制度改革に資する調査・研究としたい。
そのため、Webアンケート(年齢均等配分で全国5,000サンプル)調査を実施し、その結果を分析したところ、次のような分析結果を得た。

① 今後も少数のDPFへの取引は集中していくとみられる。
② 取引情報の売買も一定の条件下では同意されやすい。
③ 一般の消費者は、国内外のごく少数のDPFを利用し、賢い消費者として複数のサイトを使いこなして比較検討する行動はあまり一般的ではない。
④ ECサイト等では、より国内の事業者を信頼するためDPF運営者の「国籍」には関心を向けるが、「情報の第三者提供(転売)」には、さほど抵抗感がない。
⑤ 個人情報の公共利用が進んだと言われているが、「接触確認アプリ(CTA)」の受容および、「GPS等を利用した行動履歴」等の海外DPFへの情報提供や情報分析には一定の抵抗感がある。
⑥ 新型コロナウイルスへの感染疑いといった「機微情報の分析」には、Google/Appleより厚生労働省(政府機関)の方が信頼されている。
⑦ 「スマートフォン+DPFでのネットショップ+キャッシュレス」 のさらなる拡大が見込まれる。

 これらの分析結果より、海外DPFよりも、政府や国内DPFへの信頼度の方が上回るため、制度設計の工夫があればGAFAM/BATへの取引の集中を回避できる可能性があることが示唆される。しかし、今回の調査・研究ではそれを実証するには至っておらず、より詳細な調査と分析が求められる。

(執筆者)
上田 昌史 (ICTリサーチ&コンサルティング部 シニア・リサーチャー)