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2019.10.01

  • 最新研究
  • 米谷 南海
  • 五十嵐 輝

日本でコード・カッティングは起こっているのか?:全国アンケート調査結果からの考察

米国では2011 年頃から「コード・カッティング(cord cutting)」という言葉が頻繁に耳にされるようになった。コード・カッティングとは、ケーブルテレビ多チャンネルサービスから有料のオンライン動画配信(Over the Top Video:OTT-V)サービスに乗り換える視聴者行動のことで、2019 年現在、全米世帯の20%弱がこれを行っていると推測される。このような新しい視聴者行動はケーブルテレビ大国として知られる米国において大きな衝撃をもって受け止められている。

我が国に目を向けてみると、日本では2015 年に「有料OTT-V元年」を迎え、翌2016 年にはそれまで微増傾向を維持していたケーブルテレビ多チャンネルサービス契約数が減少に転じた。2015 年以降の有料OTT-V市場の活性化と2016年以降のケーブルテレビ多チャンネルサービス契約数の減少には果たして因果関係があるのだろうか。つまり日本でもコード・カッティングは起こっているのだろうか。

本研究ではこの疑問に答えるべく、2019年6月に全国アンケート調査を実施した。調査は全国の18歳〜79歳の男女を対象としたもので、予備調査では3万7,667 サンプルの有効回答を、本調査では2,000サンプルの有効回答をそれぞれ回収することができた。本調査では、回答者を「コード・ロイヤリスト(cord loyalist)」、「コード・カップラー(cord coupler)」、 「コード・シェイバー(cord shaver)」、「コード・カッター(cord cutter)」、「コード・ネバー(cord never)」の五つの視聴者グループに分類し、各グループの特徴(社会経済的属性、サービス契約状況、視聴慣習等)を把握することも試みた。

全国アンケート調査の結果、日本ではコード・カッティングが米国ほど進んでいないことや、コード・シェイバーが様々な点でユニークな特徴を有していることが明らかになった。報告書では、それらの調査結果を踏まえた上で、ケーブルテレビ事業者にとって脅威となるコード・カッターやコード・ネバーが今後増加する可能性はあるのか等、日本のコード・カッティングについていくつかの考察を行ったほか、OTT-V時代におけるケーブルテレビ事業者の成長戦略についても検討した。

なお、本報告書の巻末には「付録」として全国アンケート調査結果の一覧を掲載している。多くの方々に活用して頂ければ幸いである。