2013年の世界通信市場では、米国のVerizonが英VodafoneからVerizon Wirelessの株式を取得して主要株主の地位を取り返す、MicrosoftがNokiaの携帯製造部門を買収する等の大型吸収合併（M&A）が国際規模で行われた。日本の事業者が関与する例としては、ソフトバンクによる米携帯市場シェア第3位のSprint買収がある。
表 2013年に発表された主な大型M&A（日付順）
プレス
発表 |
買収者 |
株式売却者 |
売却会社名 |
株式
取得
割合 |
取引額 |
| 2月5日 |
Liberty Global
（米） |
Virgin Group
（英） |
Virgin Media
（英） |
100% |
233億US$ |
| 3月27日 |
VTB（露） |
Tele2
（スウェーデン） |
Tele2 Russia
（露） |
100% |
35.5億US$ |
| 6月11日 |
Softbank（日） |
Sprint（米） |
Sprint（米） |
78% |
216億US$ |
| 6月24日 |
Hutchson Whampoa（香港） |
Telefonica（西） |
O2 Ireland
（アイルランド） |
100% |
7.8億€ |
| 9月2日 |
Verizon（米） |
Vodafone（英） |
Verizon Wireless
（米） |
45% |
1,300億US$ |
| 9月3日 |
Microsoft（米） |
Nokia
（フィンランド） |
Nokia’s Devices & Services business
（フィンランド） |
100% |
54.4億€ |
| 10月14日 |
Vodafone（英） |
Kabel Deutscland（独） |
Kabel Deutscland（独） |
76.57% |
77億€ |
| 10月3日 |
Telefonica（西） |
KPN（蘭） |
E-Plus（独） |
17.6% |
50億€ |
| 11月5日 |
Etisalat（UAE） |
SFR（仏） |
Maroc Telecom
（モロッコ） |
53% |
42億€ |
| 11月27日 |
Altice
（ルクセンブルク） |
Orange（仏） |
Orange Dominicana
（ドミニカ共和国） |
100% |
11億€ |
出所：各社サイトより作成
2013年のM&Aの傾向として、経済全体の沈滞と国内競争の進展により、収益の低下した欧州諸国の事業者による、米国あるいは新興国の事業者への子会社売却が目立った。米国の事業者に比して規模は小さいながら、近年は新興国の事業者が欧米の事業者からのオファーにも積極的に応じている。インドのBharti Airtelやアラブ首長国連邦（UAE）のEtisalatは特に積極的で、Bharti Airtelは2013年に前年から続けられてきたQualcommの子会社Wireless Business Serviceの買収を完了、Etisalatは上記の表にあるとおり、SFRのモロッコ子会社株式を取得した。