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2014.12

世界各地のICT発展度-ITUは地域間ディバイド解消策として、競争市場の確立によるサービス料金の引下げを期待-

国際電気通信連合(ITU)は2014年11月、「Measuring Information Society 2014」を発行、2013年末現在の世界のICTサービス普及の現状を報告した。この報告書では、年ごとに世界の約160か国につき、ICT発展度の評価を実施、ランキング表を公開している。評価インデックスにはサービス普及、アクセス環境及び利用者のスキルがあり、この3つを総合して、平均を5、満点を10としたポイント評価が行われる。

2013年の総合評価ランキングでは、2012年と大きな順位の変更はなく、上位、中位、下位グループの構成はほぼ固定している。1位はデンマーク(2012年は2位)で、評価ポイントは8.86。2012年1位の韓国と入れ替わった。日本は2012年の10位から1位下がって11位、評価ポイントは8.22である。

ITUは各国の評価と同時に、世界の各地域の発展度の分析も実施しており、各地域の構成国の評価分布を以下の図で提示し、それぞれの地域の特徴を解説している。

世界各地域のICT発展度
世界各地域のICT発展度
出所:ITU「Measuring Information Society 2014」
  • 欧州: 上位40か国の大半を西欧諸国が占める。東欧の数か国のみが中位(60~90台)にあり、地域別の最下位はアルバニア(84位)。
  • CIS: 地域の最上位はベラルーシ(38位)、次いでロシア(42位)で、最下位はウズベキスタン(115位)。そのほかの国は中位に散在している。
  • 北南米: 米国(5位)、カナダ(23位)が突出して上位にあり、最下位はキューバ(125位)。あとの国はほぼ中位に散在している。
  • アジア・太平洋: トップレベルの韓国・日本、評価指数がほぼ平均に近いマレーシア(71位)やタイ(81位)、最下位に近いバングラデシュ(145位)やミャンマー(150位)等、特定の位置に集中せず全体に広がっている。
  • アラブ諸国: 地域の最上位はバーレーン(27位)、最下位はモーリタニア(147位)。全体的には中位に属するが、産油国であるか否かで、上位に近い国と、下位に近い国が分かれている。
  • サブサハラ諸国: 平均値より上の評価を受けたのはモーリシャス(70位)のみで、大半が120位より下の下位レベルにある。

今回の分析では、上記に示された地域間ディバイドの中心問題として、一人当たりGNIに占める通信サービス料金の割合が取り上げられている。実際、各国で最も普及が進みつつあるといわれているモバイル・ブロードバンド料金(ポストペイドで500MBあたり)を見てみると、上位50か国あたりまではGNI per Capitaの1%以下であるのに対し、120位以下の国では10%~90%に達する。

ITUはこの状況に対し、GNI Per Capitaがサービスの入手可能性の第1条件であることは疑えないものの、最近5年間の世界市場の傾向として、市場の集中度の低下とサービス料金、特にブロードバンド接続料の引下げに大きな相関があったことを示し、各国規制機関の競争促進政策に注目するとしている。