数も能力も急速に増大するデータセンターは米国が世界の半分を占めている
近年、デジタル・トランスフォーメーション(DX)と人工知能(AI)がICT分野開発の中心的な位置を占めて、データの大容量化が進み、クラウド化が加速したことも受けて、以前は地味なインフラだったデータセンターが重要な役割を担うようになった。
2024年の3月時点で、データセンターのロケーションは全世界で約11,000か所あり、その約半数は米国に集中している。100か所以上のロケーションを持つ国は18か国存在し、第2位のドイツは514か所だが、米国の約10%の数である。アジアでは中国が最多で449か所、日本はその約半分の219か所である。
地域で見た場合に、データセンターが最も集中しているのは、米国のワシントンDC近郊のバージニアである。これは時間当たりのデータセンター電力消費量(キロワット)で比較したもので、トップテンを見た場合に、やはり米国各都市が入り、それに北京、上海、東京、ロンドンを加えた形になる(1)。
ラージ・ランゲージ・モデル(LLM)の稼働が増えることを筆頭に今後もデータの大容量化は止まらないため、データセンターの需要は拡大する。また、供給側においてもハイパースケールのクラウド提供業者やデータセンター事業者が、大規模な展開を行うことが予想されている。
さらに数と能力が増えると、気がかりになるのは、すでに世界の総電力量の4%を消費しているとされるデータセンターを支える電力であろう(2)。ゴールドマン・サックスの2025年2月の試算によると、2024年時点で約55ギガワットだった世界のデータセンターの消費電力量が、2027年には50%の電力消費量の増大が見込まれ84ギガワットに達し、2030年には2024年比165%の増大することを予想している(3)。