英国放送協会研究開発部門(BBC Research & Development)内の責任あるイノベーションセンター(Responsible Innovation Centre)は2026年9月3日、「公共サービスメディア熟議報告書(Responsible Innovation Centre Public Service Media Deliberation)」を公表した(注1)。同センターは2026年5~6月に英国全土から選ばれた100人の市民による討議を実施し、公共サービスメディア(PSM)の将来に関する提言を取りまとめた。
参加者はAI、誤情報、パーソナライゼーション、大手オンラインプラットフォームの影響などについて学習した後、四つの将来ビジョン、12の優先事項、50件超の提言を策定した。提言では、公共サービスメディアがデジタル社会における公共的基盤として機能し、技術や情報環境の形成に積極的な役割を果たすことを求めた。
具体的には、デジタル包摂の推進を重視し、教育コンテンツや実用ツールの提供を通じて、全ての人がデジタル社会へ参加できるよう支援することを求めた。また、若年層を含む利用者が安心して利用できる安全で建設的なオンライン対話空間の整備や、市民参加を促進するデジタルサービスの提供も重要課題として挙げられた。
さらに、偽情報対策や情報の信頼性確保について公共サービスメディアが主導的な役割を果たすべきとの意見が示された。参加者はAIやソーシャルメディアの普及に伴う利益優先の傾向や社会的分断への懸念を表明し、公共の利益を重視した情報環境の維持を要望した。また、公共サービスメディアの将来計画や技術活用方針の策定に市民を継続的に関与させる仕組みの導入も提言されている。
(注1)
https://www.bbc.co.uk/rd/articles/2026-09-future-public-service-media-technology