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2026.06

  • スペイン
  • AI
  • 国別・地域別トピック
政府、EU「AI法」の国内法案を議会へ上程
政府の意思決定機関である閣僚評議会(Council of Ministers)は2026年5月26日、2024年8月に発効したEU「AI法」を国内法制化するための法案を下院(Congress of Deputies)に上程した。スペインにおいて、研究機関・企業・行政機関に対しAI開発環境を提供する「AIファクトリー」やスペイン語独自のAIモデル「ALIA」の開発など、AI技術開発に関する先進的な取り組みが推進されている中、信頼でき、かつ倫理的な人間中心のAI利用を実現するための法的枠組みを構築することを目的にしたもので、禁止されるAIシステム、市場監視体制、公的部門におけるAI活用、試験環境、制裁等に関する規定を骨子にしている。主な内容は下表の通りである。
 
                                                                                 表 スペインAI法案の概要
事項 内容
禁止されるAIシステム AIを利用した潜在意識操作(サブリミナル)技術による行動誘導、子どもなど社会的弱者の脆弱性の悪用、生体情報による人種・政治的信条・性的嗜好の推定、行動・属性に基づく融資判断のスコアリングなどを禁止する。そのほか、2026年5月7日にEU理事会と欧州議会が合意した性的ディープフェイクの生成AIも禁止対象とする。
市場監視体制 分野別の規制対象製品(機械、玩具、車両、医療機器など)については各分野の所管当局が監督し、上記以外のAIシステム(雇用、バイオメトリクス、教育など)についてはAI監督機関(AESIA)、データ保護庁(AEPD)、司法評議会(CGPJ)が監督する。
公的部門におけるAI活用 行政手続において使用されるAIシステムの登録台帳を作成し、AI使用に関する透明性を確保する。行政組織内にAI担当責任者を設けるほか、職員へのAI教育・啓発を推進する。
試験環境 上市されるAIシステムが規制項目を順守しているかを、管理された規制環境の中で検証する「AIサンドボックス」を制度化する。国家レベルのサンドボックスはAESIAが運営し、各産業分野で活用されるAIシステムは、所管監視機関がAIサンドボックスを運用する。
制裁 違反レベルを「軽微」・「重大」・「極めて重大」の三つに分類し、「極めて重大」の場合、最大3,500万EURまたは全世界売上高の7%の制裁金を科し、「軽微」な違反の場合、最大50万ユーロまたは売上高の0.5%の制裁金を科す。ただし、制裁より是正を優先することを原則とし、迅速な支払や是正措置の実施に対する減免措置を設ける。