閣僚評議会(Council of Ministers)は2026年5月19日、「国家ディープテック戦略」を承認した。13の政府機関が連携して実施する国家プロジェクトとして、デジタルトランスフォーメーション・公務省と科学イノベーション大学省が策定し、同年4月30日に公表したもの。対象は、①バイオテクノロジー、②持続可能性・クリーンエネルギー、③人工知能・データ技術、④先進半導体、⑤高度通信接続・デジタル技術、⑥ロボティクス・自律システム、⑦先端材料・リサイクル、⑧先端センサー技術、⑨量子技術、⑩宇宙技術の10分野。これら最先端技術の開発・実装を通じて産業・雇用・競争力の強化と社会・福祉・健康・雇用・持続可能性などの社会変革を目指す。
同戦略は、上記10技術に関する①科学・技術能力の強化、②企業基盤の強化、③産官学エコシステムの構築の三つの柱で構成されている。政府予算は、2026年~2030年間で総額80億EUR。特に②における研究成果の産業化を重視しており、予算の約80%を民間の製品化・国際展開プロジェクトに割り当てるとしている。
戦略推進体制は、13の省庁で構成される「ディープテック政府間委員会」の下、①「技術事務局」(技術開発・イノベーションセンター(CDTI))が担当)、②科学・技術・イノベーション政策評議会(CPCTI)をベースに地方自治体との調整を行う「作業部会」、③産官学の戦略プラットフォーム「ディープテック・アライアンス」、④専門家による「諮問評議会」で構成される。
「国家ディープテック戦略」の概要
| 戦略項目 |
目標 |
実施事項 |
| 科学的・技術的能力の強化 |
人材の育成・誘致・定着 |
・高度な研修と能力開発
・人材誘致と定着 |
| 知識移転の推進 |
・学術的成果の商業化
・産業上の資産権の保護
・科学分野の起業支援 |
| 国際的卓越性を有する研究・技術センターの構築 |
・最先端の研究開発インフラ構築
・高度イノベーション・エコシステム構築 |
| 企業基盤の強化 |
イノベーション需要の促進 |
・イノベーションの公共調達
・イノベーションに関するコンソーシアム・アライアンス・共同実験ラボの構築 |
| 企業スケールアップのための官民資本の強化 |
・長期忍耐資本(patient capital)に特化した資金調達プログラムの実施
・支援・モニタリングの仕組作り(ベンチャービルダー) |
| バリューチェーン開発・産業化・国際展開への支援 |
・テストベッドと検証環境の整備
・主要企業リーダーシップ
・国内産業化とエコシステムの国際化 |
| 産官学エコシステムの構築 |
エコシステムのガバナンスに関する新たな制度枠組み |
・省庁間調整
・地域間調整
・民間セクターの参加 |
| 技術モニタリング・コミュニケーション・可視性の強化 |
・技術動向把握と技術予測
・エコシステムのモニタリング・情報交換・可視化 |
| 企業成長に資する規制枠組みの構築 |
・ディープテックの加速化と責任ある利用のための規制枠組み構築 |
出所:Estrategia Deep Tech España 2026-2030