2026.04
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児童性的虐待コンテンツ対策のための「eプライバシー指令」の例外規定が失効

オンライン上の児童性的虐待コンテンツ(CSAM)の自主的なスキャンを認める暫定規則(通称「チャットコントロール1.0」)が、4月3日に失効した。
暫定規則は、「eプライバシー指令」の例外規定を設けることで、事業者によるCSAMの自主的なスキャンを可能にしていた。EU理事会と欧州議会は、2年間の規則延長に向けて交渉を進めていたが、両者は第一読会での合意を断念。同暫定規則が4月3日で失効する事態となった。失効した暫定規則は、通信内容のスキャンを可能にする恒久的な枠組みであるオンライン上の児童性的虐待防止・撲滅に関する規則案(通称「チャットコントロール2.0」)が成立するまでの暫定的な措置として2021年に成立したもので、同規則案の審議長期化に伴い、2024年8月に一度延長していた。
交渉決裂を受け、プライバシー擁護派である欧州議会のグレゴロワ議員(緑の党/欧州自由連盟)は、「事業者は我々のオンライン通信や友人への送付画像に対する大量スキャンを直ちに停止せざるを得ない」として交渉決裂を歓迎した。
一方、児童保護団体ECLAGや、大手テック企業ら(グーグル、リンクトイン、スナップチャット、メタ、マイクロソフト、ティックトック)は、同暫定規則の延長交渉決裂による悪影響に対して、強い懸念を示している。ECLAGは、EUの政策立案者が意図的に延長を見送ったことを強く非難し、合法的なスキャンの停止は被害者保護や捜査に悪影響を及ぼすと警告した。テック企業らも、ハッシュマッチングによる自主的なスキャンは、児童虐待の特定、違法なコンテンツの拡散防止及び法執行機関による調査において中心的な役割を果たす確立された手法であり、その法的明確性が損なわれることを批判した。
さらに、グーグル、メタ、マイクロソフト及びスナップチャットの大手テック企業4社は、同暫定規則が失効した4月3日にも共同で声明を発表。4社は、EUの立法機関が暫定規則の延長合意に至らなかったことを「無責任な失敗」であると非難しつつ、この状況下でも、児童保護とプライバシー維持に関する取り組みを再確認し、対象の通信サービスにおける自主的な対策を今後も継続すると表明した。EUに対しては、現在、三者協議中のオンライン上の児童性的虐待防止・撲滅に関する規則案について早急に合意するよう強く求めている。