2026.03
ミラノ・コルティナ五輪のJTBC独占中継で高まるユニバーサルアクセス制度改正の動き
WBC 2026がNetflix独占中継となったことで地上波中継が無く、日本ではこれまで意識されてこなかった、放送のユニバーサルアクセスの概念が初めて浮上する契機となった。主に欧州の制度を参考として、韓国では2007年からユニバーサルアクセス制度が取り入れられており、最重要イベントとして位置づけられている五輪やFIFA W杯を放送する際は、人口の90%以上が視聴できる放送手段を確保することが制度で義務付けられている。WBCもこれに準じる重要イベントとして位置づけられている。
ユニバーサルアクセス制度整備で我が国より先行する韓国だが、今回有料放送チャンネルのJTBCがミラノ・コルティナ五輪の独占中継で地上波での五輪中継が無かったことが、主に政府と地上波業界等から問題視され制度見直しの動きにつながっている。韓国では国民の9割以上がIPTV/CATV/衛星放送のいずれかの有料放送に加入しており、JTBCチャンネルはいずれの有料放送プラットフォームでも視聴できるので単独中継でも法的には問題が無い。地上波よりも資金力で勝るJTBCは2026~2032年の夏季・冬季五輪と2026~2030年のFIFA W杯の単独占権を確保している。ミラノ・コルティナ五輪の中継をめぐる地上波側との協議は最後まで折り合いがつかなかった。
当面の差し迫った問題として6月のFIFA W杯を目前に控えた現在、それまでの制度改正を目指して国会からは議員立法発議、放送管轄官庁の放送メディア通信委員会は国民の意見ヒアリングと急ピッチで動いている。ちなみに、過去に2010年のバンクーバー五輪は当時独占中継権を確保した民放SBSと他の放送事業者間での紛争が発生している。6月のFIFA W杯までにJTBC独占中継にどのような形で折り合いをつけるのか、日本からも大変気がかりな動きである。