閣僚評議会(Council of Ministers)は2月24日、デジタル主権の確立へ向けた戦略ロードマップ「スペインにおけるデジタル主権を加速化(Accelerating digital sovereignty in Spain)」を公表した。重要資源・材料、半導体、人工知能(AI)、通信接続、高度コンピューティング、クラウドなどの主要デジタル技術が、米国・中国などの欧州域外の巨大企業の技術に依存している状況を打破し、スペインの技術力の強化と欧州における主導的地位の確立を推進する戦略を示したもの。
同文書によれば、欧州のクラウドサービスの80%以上、欧州で生成されるデータの90%以上が米国企業によって管理され、防衛、AI、自動車分野で使用されるチップの100%が輸入されている状況にあり、また、デジタル分野への投資に関しても、米国と中国における新興技術への民間投資は欧州の数倍に達し、欧州で設立されたユニコーンテクノロジー企業は世界のわずか7%に過ぎないと、技術分野の課題が報告されている。このような状況下で、国際競争力を有する自国技術(ニューロテクノロジー、オーディオビジュアル、クリーン技術(CleanTech)、デジタルID、デジタル政府(GovTech))に関する開発基盤の強化と欧州レベルの連携を進めつつ、以下の10項目に関する技術主権を確立するとしている。
- スペインのデジタル公共インフラ(電子IDシステム「Cl@ve」や行政クラウド「Sara Cloud」)とEUデジタルサービス基盤との相互運用
- エネルギー資源と地政学的優位性を活かした持続可能な「グリーン」データセンターの推進
- AIモデル訓練・推論のための大規模「AIギガファクトリー」の国内構築
- 欧州「ソブリンクラウド(Sovereign Cloud)」構築への積極貢献
- AI向けのオープンアーキテクチャ(RISC-Vなど)に基づいた半導体への投資の加速
- 行政機関向けのオープンソース型オフィスソフト「OpenDesk」の開発
- Bizum(スペイン)・MB Way(ポルトガル)・Bancomat Pay(イタリア)などのモバイル決済ソリューションの相互運用による欧州レベルでの越境決済システムの構築
- 国内衛星HispasatのIRIS2(欧州安全衛星通信)への参加によるスペイン宇宙産業の強化
- フォトニック・チップを中心とした量子技術の推進
- 「Buy European」原則による欧州デジタル技術の公共調達と欧州技術の需要創出
プロジェクトの実施時期は以下の通りである。
- 2026年:越境決済システムの連携開始
- 2027年まで:デジタル公共インフラの相互運用、OpenDesk開発、グリーンデータセンター規格、AIギガファクトリー準備、宇宙産業強化の着手
- 2030年まで:ソブリンクラウド構築、量子チップ・半導体開発、AIギガファクトリー本格稼働