2026年1月23日、TikTokは、米国でTikTokを運営する新たな合弁会社「TikTok USデータセキュリティ(U.S. Data Security:USDS)合弁会社」が設立されたことを発表した。
TikTokは米国民2億人、米国企業750万社以上が利用しているプラットフォームであるが、中国企業バイトダンスが所有していたことから米国の国家安全保障に脅威をもたらすことが懸念され、バイデン政権下で、バイトダンスがTikTokの米国事業を売却しなければ米国内で同アプリを実質的に禁止するTikTok規制法が成立した経緯がある。トランプ大統領は就任後、売却成立に向けてその期限を複数回延長していた。
合弁会社は、シルバーレイク、オラクル、アラブ首長国連邦(UAE)の投資会社MGXがそれぞれ15%の株式を保有。バイトダンスが19.9%を保有する。TikTok USDSは新たに選任された取締役7名によって独立した主体として運営される。取締役の過半数は米国民となり、CEOにはTikTokや元ワーナーメディアで勤務した経歴を持つアダム・プレッサー氏が就任する。
TikTokは声明で、米国でのサービスは「包括的なデータ保護、アルゴリズムのセキュリティ、コンテンツのモデレーション、米国ユーザ向けのソフトウェア保証によって国家安全保障を保護する明確な安全対策」の下で運営されると説明している。その内容は次のとおり。
- データ保護:米国ユーザデータは、USDS合弁会社によりオラクルの安全な米国クラウド環境で保護される。合弁会社は、第三者のサイバーセキュリティ専門家による監査と認証を受けた包括的なデータプライバシー及びサイバーセキュリティプログラムを運用する。本プログラムは、米国標準技術研究所(NIST)のサイバーセキュリティフレームワーク(CSF)及び800-53、ISO 27001、並びにサイバーセキュリティ・インフラストラクチャ・セキュリティ庁(CISA)の制限付き取引に関するセキュリティ要件を含む主要な業界標準に準拠する。
- アルゴリズムのセキュリティ:合弁会社は、米国ユーザデータに基づくコンテンツ推薦アルゴリズムの再トレーニング、テスト、更新を実施する。コンテンツ推薦アルゴリズムは、オラクルの米国クラウド環境で保護される。
- ソフトウェア保証:合弁会社は、ソフトウェア保証プロトコルを通じて米国向けアプリを保護し、信頼できるセキュリティパートナーであるオラクルの支援の下、継続的にソースコードのレビューと検証を行う。
- 信頼性と安全性:合弁会社は米国向けコンテンツエコシステムを保護し、信頼性と安全性のポリシー及びコンテンツモデレーションに関する意思決定権限を有する。
トランプ大統領は同日、ソーシャルメディアへの投稿で、TikTokが米国投資家グループによって所有されることを歓迎し、取引実現に尽力したJDバンス副大統領や政権メンバーに謝意を述べるとともに、最終的に同取引を承認した中国習国家主席にも謝意を示した。
他方、連邦議会では、一部議員が同取引に疑義を呈しており、中国がTikTokのアルゴリズムへの影響を続ける可能性について、民主党のエド・マーキー上院議員は「議会にはこの合意を調査し、透明性を求め、TikTokのサービスを維持しつつ国家安全保障を真に保護する取決めであることを確認する責任がある」と声明で述べている。また、下院中国特別委員会の委員長を務める共和党のジョン・ムーラーナー議員は、中国共産党がアプリを武器化して米国を分断し弱体化させることを許してはならないとし、アルゴリズムへの中国の影響に加えて、データセキュリティへの懸念や、合意内容に関する情報不足への懸念を指摘している。