デジタルトランスフォーメーション公務省は2025年12月2日、緊急時における通信ネットワークのレジリエンスを強化するため、国内のデジタルインフラ事業者に対し、緊急事態への対策計画の提出や緊急時の通信ネットワークの維持・復旧を義務化する政令案を公表した。近年、スペインではラ・パルマ火山噴火、バレンシア州の豪雨災害(DANA)、大規模停電などの緊急事態が多発しており、被害の最小化と市民の安全性を確保するため、通信ネットワークを緊急時の重要インフラに分類するとともに、50万人以上のユーザを有する、又は年間売上額5,000万EUR以上とする国内通信事業者やデジタルインフラ事業者(海底ケーブル、衛星、データセンター、IX等)に対し、以下を義務付ける(注)。
(注)国家安全保障・防衛に利用される通信ネットワークには適用されない。
図表 通信ネットワークのレジリエンス強化に関する義務
| 義務項目 |
義務内容 |
| 安全計画書の提出 |
・緊急事態のリスク分析・対応処置を記載した総合計画書を提出するほか、ネットワーク種類、サービス種類、インシデント種類ごとの緊急事態対応を記載した詳細計画書を提出する。
・ネットワーク設備を重要性に応じて三つのレベルに分類し、緊急時に給電が停止した場合でも、各レベルの設備の稼働を継続する(重要レベル24時間、中間レベル12時間、低レベル4時間)。
・緊急事態発生時に、移動体通信は人口カバレッジ85%を4時間維持する。また、複数技術・設備を組み合わせた代替サービス(例:データによる音声伝送)の提供に関する戦略を作成する。
・112番(緊急通信)センターや公共警報が切断せずに継続的に利用可能なようにするための計画書を提出する。 |
| インシデント報告 |
・インシデント発生時には、1時間以内に政府当局へ第1報を通知し、最終通知まで経過報告を行う。また、インシデントの原因、影響、対策、教訓を分析した詳細な報告書を提出する。
・インシデントの規模を評価するための基準を明示する(人数、期間、地域、サービスなど)。 |