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2025.12

  • イギリス
  • 放送・メディア
  • 国別・地域別トピック
Ofcom、将来の放送規制に関する意見募集を開始
英国通信庁(Office of Communications:Ofcom)は、テレビ、ラジオ及びオンデマンドサービスにおける放送規制の改革・効率化に向けた意見募集を、2025年11月20日に開始した(注1)。Ofcomは、主にリニア型のスケジュールされた番組編成の世界向けに設計された現行の枠組みが、成長と革新を支援しつつ、あらゆるプラットフォームにおける視聴者保護を維持するために、どのように進化すべきかについて意見を募集している。
 
Ofcomは「2024年メディア法」の施行を進めているが、視聴習慣の変化に規制が追いつくよう、さらに改革が必要だと指摘している。それは公共サービスメディアコンテンツへの投資を阻害せず、業界が将来の市場動向に対応する能力を制限しないためである。
 
本見直しは、主に以下の3分野に焦点が当てられる。Ofcomは特に、既存の規制が事業に与える影響に関する関係者からの証拠に関心を持っている。これには、規制がもはや不要な場合や、イノベーションや競争を阻害している可能性がある場合も含まれる。
 
①免許制度
多くの放送(テレビ及びラジオ)サービスは、Ofcomが発行する免許を取得する必要がある。これらの免許には、番組編成義務、広告、コンテンツ基準に関する規制を含め、放送サービスが従うべき規制が定められている。Ofcomは、将来の公共サービスメディア(Public Service Media:PSM)の提供を支援するために、免許の変更が必要かどうかを検討する。これには、実際の運用上の要件や、Ofcomへの情報提供を含むコンプライアンスにかかるコストが含まれる場合がある。長期的には、免許制度は完全にデジタル化された環境を反映するために、根本的な改革が必要となる可能性があり、そのためには立法上の変更が必要である。テレビ配信の未来に関する政府の決定が、この検討において重要な要素となる。
 
②広告
近年、リニア広告の資金調達モデルは大きく変化しており、商業の公共サービス放送(Public Service Broadcasting:PSB)やその他放送局の財政的持続可能性に圧力をかけている。また、放送サービスとオンラインサービスの間では、許可される広告の量、スケジュールの方法、免許人が自社サービスを相互に宣伝する方法に大きな違いがある。視聴者がどこでコンテンツを視聴・聴取するかによって、広告の体験が異なることは明らかである。リニアとオンラインの違いを踏まえ、広告規制を改めて見直し、現行ルールの更新が必要な箇所や撤廃が望ましい箇所を検討する時期を迎えている。なお、広告の内容に関する規則は広告基準局(Advertising Standards Authority:ASA)が施行するコードで規定されており、本見直しの対象外。
 
③コンテンツ基準
2026年の優先事項は、「2024年メディア法」に基づく新しいVODコードを実施することである。長期的には、コンテンツ基準の体制全体を検討する必要がある。どこで放映されるコンテンツにも公平に適用され、オンライン安全規制と連携し、視聴者の安全を確保するルールが必要である。放送コードで定められた重要な基準を損なわずにこれを実現する方法について検討する。
 
意見募集の締切りは2026年1月15日まで。Ofcomは、市場動向全般や政府が今後決定するテレビ配信の未来に関する判断と併せて、寄せられた意見を検討した上で、2026年春に更新版作業計画およびハイレベルロードマップ(規制改革に関する今後の対応を含む)を公表する。
 
(注1)
https://www.ofcom.org.uk/tv-radio-and-on-demand/public-service-broadcasting/call-for-input-review-of-broadcast-regulation