欧州委員会は9月16日、データ、サイバーセキュリティ及びAI分野の規制に係る証拠募集を開始した。これは、デジタル関連規制を簡素化する政策パッケージ「デジタルオムニバス(Digital Omnibus)」の策定に向けたものであり、2025年末までに公表する予定となっている。
欧州委員会は、過去数年間で複数の横断的及び分野別規制が行われてきた結果として、現行のデジタル関連規制は複雑化・断片化しており、企業(特に中小企業)の負担が増大していると指摘。現在検討中のデジタルオムニバスは、既存規制の即時的な合理化だけでなく、デジタル適合性チェックによるさらなる評価、規則の調和的な適用を支援する措置、欧州企業向けの簡素化されたコンプライアンス枠組み等、多層的な懸念に対処する一貫した戦略を始動させ、行政・企業・市民の負担軽減を図るとしている。
同日には、EUの競争力向上に関する提言をまとめた報告書(通称「ドラギレポート」)の発表から1年を迎え、進捗を振り返るハイレベル会合も開催。欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長と欧州中央銀行(ECB)の前総裁でイタリア前首相のマリオ・ドラギ氏がそれぞれ講演を行い、いずれも競争力強化と規制簡素化に焦点が当てられた。
デジタルオムニバスが対象とする主なデジタル関連規制は以下のとおり。
- データ関連法(「データガバナンス法」、「非個人データの自由流通枠組みに関する規則」、「オープンデータ指令」)
- 「eプライバシー指令」のクッキー及びその他の追跡技術に関する規制
- サイバーセキュリティ関連のインシデント報告義務
- 「欧州AI法」の円滑な規律適用。
- 欧州デジタルID枠組みに基づく電子認証及び信頼サービス関連。