英国の公共サービス放送(public service broadcasting:PSB)事業者(BBC、ITV、Channel 4およびChannel 5)は2025年9月18日、RTS(Royal Television Society)ケンブリッジ・コンベンション2025において、公共サービス放送の未来に向けた五つの行動計画に関する共同声明を発表した(注1)。
公共放送であれ商業放送であれ、公共サービス放送事業者は、国民に奉仕するという共通の目的と社会的な責務がある。多様で特色のある英国発のテレビ番組を制作し、文化的瞬間を共有することで英国の各地域を結び付け、民主主義を守る一助となる公平なニュースを提供するなど、英国の活気ある制作部門の土台として、また、クリエイティブ産業の屋台骨として、PSB制度は機能している。そして現在、分断された社会において視聴者を一つに結びつける役割を果たすために、また、利益優先のグローバルオンラインプラットフォームが英国文化圏を支配するリスクに対応するために、これまで以上に公共サービスへの貢献が必要であると、公共サービス放送事業者は認識している。
こうした課題への対応は、PSB事業者単独では成し得ないため、事業者全てが協力して取り組む必要がある。そこでPSB事業者は、英国の放送の独自性を確保するために、以下の五つの行動に取り組むことを内容とする共同声明を発表した。
- YouTubeなど、動画共有プラットフォームへのプロミネンス制度の適用。
- 若者が利用するプラットフォーム上での公平なニュースの配信や、誤情報と戦うソーシャルメディア企業との適切な契約の確保。
- 国内で制作された番組作品に対する優遇税制や、ローカル言語による放送局への公的資金の確保。
- 社会的弱者に配慮したインターネットテレビへの移行に向けた、政府と業界の協力体制の構築。
- グローバル競争に伍していくために必要な、PSB事業者間や非PSB事業者間との戦略的提携を可能とするための規制緩和。
(注1)
https://www.bbc.co.uk/mediacentre/articles/2025/public-service-broadcasters-measures-secure-distinct-british-broadcasting