閣僚評議会(Council of Ministers)は7月29日、EU「デジタルサービス(DSA)法」を国内法制化するための国内関連法の改正案を承認し、議会に上程した。主に通信分野の基本法である「一般電気通信法」を改正するもので、主な内容は以下の通り
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- 仲介デジタルサービスの管理、監視、監査、制裁に関する権限を有する「デジタルサービス・コーディネータ(DSC)」に国家市場競争委員会(CNMC)を任命する。
- CNMCは、違法コンテンツ通報チャネルの設置、広告のAI推奨パラメータの透明性の確保、オンライン契約での消費者保護、未成年者のプライバシー保護の高度化に努める。
- 国家データ保護庁は、イデオロギー、宗教、性的指向、信条、人種的・民族的由来などの特定の個人データに基づいた広告行為を禁止する。また、広告を目的とした未成年者のプロファイル作成を禁止する。
- デジタルサービスの義務規定に違反した事業者に対しては、国内外あわせた年間売上額の最大6%を罰金として科す。
このほか、閣僚評議会は、EU「欧州メディア自由法」の国内法制化を図るため放送分野の基本法「視聴覚コミュニケーション一般法」の改正案も、同日に承認している。同法の名称を「視聴覚コミュニケーション・メディア一般法」に変更し、法律適用対象を報道機関まで拡大するほか、CNMCの管理の下、国家メディア登録制を導入し、全国レベルの公共メディアサービス事業者の所有構造及び広告収入に情報を登録・公開し、メディア事業の透明性を確保する内容としている。
閣僚評議会は、これらの改正を通じて、デジタル分野における安全性・将来性・信頼性を有するデジタル主権と、メディア分野における自由・透明性・多元性に基づく民主主義の強固な基盤を確保する意向である。