2025.08
英国郵便サービス、配達削減と所有権移譲で歴史的大改革
英国の郵便サービスが大規模な変革期を迎えている。2025年7月、ロイヤルメールと郵便局会社の両方で歴史的な改革が動き出した。
まずロイヤルメールについては、オフコムが7月10日、赤字改善策として、セカンドクラス郵便の配達削減を承認した。7月28日から、従来週6日だった配達を週3日に大幅削減し、月曜から金曜まで隔日配達とする一方、土曜配達は廃止される。ただし、引き受けから3営業日以内の配達は維持される。ファーストクラス郵便は変更対象外である。配達目標も緩和され、ファーストクラスの翌日配達目標は93%から90%に、セカンドクラスの3日以内配達目標は98.5%から95%に引き下げられた。新たに99%の郵便物の配達遅延を2日以内に収める予防的目標も設定された。また、オフコムは2026年、郵便料金の手頃さについても見直しを行う予定である。
一方、郵便局会社については、政府が7月14日に将来的な運営形態について12週間の国民協議を開始した。最も注目されるのは、現在完全国有企業として運営されている郵便局の所有権を郵便局長に移譲する可能性である。政府は政府と郵便局長主導の相互所有組織との合弁事業、またはBBCのような勅許モデルの2つの選択肢を提示している。後者では政府が指針を定める一方、所有権は放棄する形となる。
これらの改革は、ホライズン・スキャンダルで失墜した信頼回復と、デジタル化時代における郵便サービスの持続可能性確保を目的としている。実際の組織変更は早くても2030年以降になる見通しである。