4月中旬、メタは、5月27日以降、ヨーロッパのユーザがFacebookとInstagramでこれまでに公開したすべての投稿をAIトレーニングのために使用すると発表した。同社は、ユーザの異議がない限りデータを使用するとアプリ内のメッセージまたは電子メールでInstagramとFacebookのユーザに通知し、オプトアウトの申出期限は5月27日としている。
この発表を受けて、ハンブルクデータ保護当局(Hamburgische Beauftragte für Datenschutz und Informationsfreiheit:HmbBfDI)は、4月15日、メタによるAI学習の対象となりたくないユーザに対して、異議申し立て(オプトアウト)を行うための方法を公開した
[1]。
今回の対応は、アイルランドデータ保護局(Ireland Data Protection Commission:IDPC)による問題点の指摘でAI学習の開始が延期されていたものの、メタがFacebookとInstagramの欧州に住む全ての成人ユーザのデータを使用してAI学習を5月末以降に開始すると発表したため。なお、学習開始後もオプトアウト可能だが、意思表明前に学習に使われたデータは事後的に取り除くことはできない。
また、ノルトライン=ヴェストファーレン州(Land Noordrhien-Westfalen:NRW)消費者アドバイスセンターは、さらに踏み込んだ対応を行った
[2]。同センターは5月6日、同社の一連の手続きは「EU一般データ保護規則(General Data Protection Regulation :GDPR)」もしくはドイツ連邦データ保護法に違反するとして、メタによるAIトレーニングのためにEU内でのデータ使用を中止するよう警告した。なお、同センターは警告と共に、HmbBfDI同様、消費者に対しオプトアウトの手順も公開している。