2025.05
ドイツ鉄道子会社のDBシェンカー、DSVが買収
デンマークの国際物流大手DSVが4月30日、ドイツ鉄道(DB)傘下のDBシェンカーの株式100%を取得したと発表した。
DBシェンカーは、フォワーディング、コントラクトロジスティクス(物流一括受託)事業を主力とする国際物流事業者としては、DHL、キューネ・アンド・ナーゲル(KN)DSVに次ぐ事業規模であり、今回の買収により、DSVは、売上高でキューネ・アンド・ナーゲルを抜き、独DHLグループ、米UPSに次ぐ世界第3位の物流企業となる。
ドイツ鉄道は、数年前から、同社の負債圧縮のため、DBシェンカーの売却を検討していると見られていた。ドイツ鉄道は売却を急がず、2022年秋頃から、徐々に候補とされる投資会社や事業会社数社の名前が挙がってきた。同社は2023年12月19日にDBシェンカーの入札手続きを開始。利益は、当初の見込みどおり、ドイツ鉄道の債務削減や、鉄道の整備・改修費用に充てるとされた。売却先の候補としては、郵便・物流大手ドイツポストDHL(現DHLグループ)や、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国の政府系投資会社アブダビ開発持株会社(ADQ)も報じられた。ただ、ADQへの売却には、安全保障上の懸念から連邦政府内に根強い抵抗があった一方、ドイツポストDHLに売却する場合、競争法上の問題が生じ、大幅な人員削減が必要になる恐れがあった。
2024年3月にDHLは買収競争から撤退し、ドイツ国内の入札希望者はDHLのみだったため、この時点で、DBシェンカーの売却先は外国企業となった。さらに、2024年7月には、デンマークの海運大手マースクが「課題が多い」として撤退、サウジアラビア国営海運バーリも撤退し、最終候補は、DSVと、投資会社CVCを筆頭とするコンソーシアムの2者となっていた(CVCはアブダビ投資庁(ADIA)、シンガポール政府投資公社(GIC)とコンソーシアムを構成)。
統合作業は28年末までに完了する計画で、DSVは、オペレーション、陸送とコントラクトロジスティクス(物流一括受託)の物流施設、管理機能、財務、ITインフラの統合により、シナジーを出すとしている。