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2025.05

  • イギリス
  • 放送・メディア
Equity、クリエイティブ・ワーカーのためのAIマニフェストを発表
英国の舞台芸術・芸能労働組合(the performing arts and entertainment trade union)であるEquityは2025年3月2日、他の組合と共同でクリエイティブ・ワーカーのためのAIマニフェストを発表した(注1)。マニフェストは、著作権法を尊重し、実演家や芸術家の「作品の盗用」を阻止するための新たな権利等を求めている。
 
生成AIがエンターテインメント業界を変革し続ける中、AIの基礎モデルの「トレーニング」に使用可能な権利保護されたコンテンツへのアクセスに対して、AI開発者からの需要が高まっている。コンテンツ所有者は、AI企業とライセンス契約を結ぶことで、当該需要に対応している(注2)。しかし、組合員のなかには、ライセンス契約に同意することを拒否して職を失ったケースや、組合員の許諾や報酬もなくAI音声プラットフォームによって使用されているケースが報告されている。
 
Equityは、AI開発者による権利保護されたコンテンツの新たな利用は、実演家の財産権や適用されるデータ保護法を十分に尊重し、認識した上で行われるよう、緊急に利害関係者間で協議する必要があると述べている。当該協議には、制作会社、放送事業者、ストリーミング・プラットフォーム、スタジオ、ビデオゲームやオーディオのパブリッシャー、ビデオゲームの開発者やベンダー、レコード会社、広告代理店、その他実演家の権利が存続し、実演家が特定できるコンテンツを所有又は管理するあらゆる事業体が含まれる。
 
AIマニフェストが求めている新たな権利等は以下のとおり。
 
  • 自分のデータや画像が使用されているかどうかをワーカーが確実に把握できるようにするための、AIトレーニングデータの透明性。
  • AIが生成した作品と人間が創作したコンテンツとの区別を維持するための、ソースの引用とコンテンツのラベリング。
  • ワーカーの許諾と同意がない場合に、商業的なデータマイニングからクリエイティブな作品を保護するためのオプトインシステム。
  • クリエイティブな作品がAIモデルのトレーニングに使用された場合の、当該作品に対する過去と将来の流用も含めたクリエイティブ・ワーカーへの公正な報酬の支払い。
  • 許可なく画像や音声を使用する「ディープ・フェイク」からクリエイティブ・ワーカーを保護するための新たな肖像権。 
  • クリエイティブ産業ワーカーが、作品における著作者又は実演家として帰属する権利の強化。
  • クリエイティブ・セクターを含む社会や作品への人工知能の統合を監督及び規制する独立した規制機関。
  • クリエイティブ・ワーカー、労働組合、技術者を結集し、技術への参加と関与の新時代の到来を告げる新たなクリエイティブ産業AIタスクフォース。
 
(注1)
https://www.equity.org.uk/news/2025/equity-calls-for-stronger-ai-protections-for-creative-workers
(注2)
https://www.equity.org.uk/advice-and-support/know-your-rights/ai-toolkit/equity-s-open-letter-to-the-industry-on-ai-training