2025.05
インポストがヨーデルを買収し、英国第3位の独立系配達会社が誕生
ポーランドの小包ロッカー事業者インポスト(InPost)は、英国の小包配達業者ヨーデル(Yodel)を1億ポンドで買収すると発表した。インポストは、ヨーデルの親会社ジャッジ・ロジスティクス(Judge Logistics Ltd)の株式95.5%を買収することで合意した。決済事業者のペイポイント(PayPoint)は、すでに保有しているヨーデルの株式4.5%を引き続き保有する。
インポストとヨーデルは昨年末、「小包ロッカーから発送された小包を戸口配達する」サービスを通じて協力を開始し、ヨーデルがインポストの小包ロッカーから顧客の自宅までの小包の配達を担当していた。
インポストは今回、年間約1億9,000万個の小包を扱うヨーデルを買収することで、英国での市場シェアが約8%に拡大するという。インポストによれば、配達サービスと小包ロッカーサービスを統合することにより、同社は英国の電子商取引市場で、ロイヤルメールとエヴリに次ぐ(アマゾンを除く)第3位の独立系配達会社となる。
ヨーデルは、2023年頃から所有者の財政難による売却が検討され、紆余曲折の後、2024年6月にジャッジ・ロジスティクスに買収された。インポストは2024年10月から、ヨーデルとの提携を開始したが、2025年年明け以降、各社がヨーデル買収を検討する中、インポストとしても、ヨーデルを獲得すれば配達を社内で行えるようになるため、小包ロッカーへの時間どおりの配達ができるようになると考え、2024年11月頃から、ヨーデルへの投資(資金援助)を行ってきていた。この見返りとしてヨーデルを買収するオプションを持っており、これを4月に行使する可能性があると見られていた。
インポストは2025年2月に、新しいコンセプトの消費者間(C2C)配達サービス「センド(Send)」の開始を発表している。これは、小包ロッカーやコンビニエンスストアなどに小包を持ち込んで小包を発送し、小包ロッカー、宅外受取所、または受取人の家の玄関先に直接配達されるというもの。
なお、インポストは、今年中にフランスでも戸口配達サービスを開始する意向を示しており、小包配達ネットワークにロッカー事業が深く浸透してきたこの時期、ロッカー事業者の方から配達市場に乗り込もうとする状況が出現している。