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2025.02

  • ロシア
  • 金融
VTBによる郵便銀行の買収
2024年12月下旬、ロシア第2位の国営銀行である対外貿易銀行(VTB)が、ロシア・ポストから郵便銀行(Pochta Bank)の株式49.99%を360億ルーブルで取得する手続きを完了した。これにより、VTBは郵便銀行を完全子会社化する。
 
VTBは、2026年5月末までに郵便銀行の全顧客基盤をVTBに移行する予定で、合併の第一歩として、郵便銀行でのVTBのサービスの販売を開始することとしており、2025年2月には、郵便銀行の最初の20支店でVTBのサービス提供を開始し、3月末までに、ほかのすべての支店に拡大するという。
 
また、5月から8月にかけては、2,200の郵便局でもVTBの金融サービスが段階的に開始され、年末には全国の2万人超のロシア・ポスト従業員がVTBのサービスを提供できるようになるとしている。
 
郵便銀行は、2016年3月に、ロシア・ポストとVTB傘下のVTR24銀行が合弁で設立した。その後、VTR24銀行がVTRに吸収合併されたことに伴い、VTR銀行とポストファイナンス(ロシア・ポストの100%子会社)がそれぞれ株式49.99%を保有していた(2株は頭取が保有していたが、VTBが購入済み)。
 
ロシア政府は、以前から郵便銀行の創設を検討していたが、2013年にロシア・ポストが同社の開発戦略の一環として銀行免許取得の意向を示し、2015年にVTBが郵便銀行設立計画への参加を正式に表明した。中央銀行と通信省の承認を受け、2016年に両者が郵便銀行新設計画を発表し、VTR24銀行子会社のレト銀行を基盤とすることで、実現に至った。
 
郵便銀行は、「国内最大手のズベルバンク(Sberbank)と競合することはないだろう。なぜなら、郵便銀行の顧客の半数は、ロシア・ポストのサービスを利用する年金受給者だからだ」として、大衆顧客層・低所得者層・ネット通販利用者向けの金融サービスと、年金受給者向けの包括的サービス(年金支払いなど)とに焦点を合わせて開始されている。また、ロシア・ポストは、「郵便銀行の社会的に重要な役割は、ロシア国民の金融サービス利用を増やすことと、経済のキャッシュレス化を推進することだ」とも述べていた。
 
2024年7月、VTBは郵便銀行買収の計画を発表し、買い取る株式を評価するにあたってロシア・ポストに不利益な扱いをしないことを約束した。11月には、中央銀行と反独占庁(Federal Antimonopoly Service:FAS)からの承認を得て、12月に取引が実施された。
 
郵便銀行は資産額(2024年8月時点で5,830億ルーブル)ではロシアで23位、資本金(704億ルーブル)では28位にランクされている。同行は個人客向けサービスと無担保融資を専門としているが、VTBにとって最も魅力的なのは、ロシア・ポストの郵便局を基盤として運営されているロシア最大規模の支店網であり、郵便銀行は333の支店を持っているが、ロシア・ポストとの協力により、合計2万5,000のサービス拠点を展開している。VTBは郵便銀行と合併することで、自行の支店網(22支店と1,645の営業拠点)を何倍にも拡大できる可能性がある。