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2025.01

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第2次トランプ政権が発足 就任初日の行政措置を整理
米国の第47代大統領に共和党のドナルド・トランプ氏が1月20日に就任した。連邦議会議事堂で行われた就任式には、テスラのイーロン・マスクCEO、Amazon.comのジェフ・ベゾスCEO、メタのマーク・ザッカーバーグCEO、アルファベットのスンダー・ピチャイCEO、TikTokの周受資CEO等が顔を揃えた。

トランプ大統領は事前に明らかにしていたとおり、大統領令や覚書等に次々と署名。バイデン前政権の政策を大きく転換させ、自らの公約を迅速に実現させる姿勢を示した。就任初日に講じられた行政措置のうち、通信・放送分野に関連する主なものは以下のとおりである。

<FCC委員長の任命>
連邦通信委員会(FCC)委員長に現委員で共和党系のブレンダン・カー氏を任命した。同氏は声明を発表し、FCC委員長として、技術・メディア規制、周波数政策、インフラ整備、宇宙経済促進を通じて成長と雇用の機会を創出するとした。ただし、カー氏がこうした施策を進めるには、FCCで共和党委員が多数派となることが必要となる。トランプ大統領は1月16日、上院軍事委員会の専門スタッフを務める共和党系のオリビア・トラスティ氏を新たなFCC委員に指名している。

<FTC委員長の任命>
連邦取引委員会(FTC)委員長に現委員で共和党系のアンドリュー・ファーガソン氏を任命した。ファーガソン氏は「トランプ大統領のリーダーシップの下、前政権による米国的生活様式への攻撃を終わらせ、企業、労働者、消費者の新たな黄金時代を迎え入れる」との声明を発表した。なお、民主党系のリナ・カーン前委員長は通常の委員となるが、後任が議会で承認され次第、委員職から退く。トランプ大統領は2024年12月10日、新委員に共和党系の反トラスト法専門弁護士であるマーク・メダー氏を指名している。

<TikTok規制法の施行延期>
司法長官に対し、「外国敵対勢力が管理するアプリから米国人を保護する法(TikTok規制法)」の施行を75日間延期し、最適な対策を検討する時間を確保するよう指示する大統領令を発令した。トランプ大統領は、TikTokの米国事業を存続させる条件として米国資本が株式の50%を所有することを提案しているほか、TikTokとの取引が中国で承認されない場合には関税を課す可能性も示唆している。ただし、法律の専門家らからは「大統領には法律を撤廃する権限はない」との見方も出ている。

<政府による検閲の停止>
連邦政府の職員や代理人が米国民の言論の自由を侵害する行為に関与したり、税金を投じたりすることを禁じる大統領令を発令した。また、司法長官に対し、バイデン前政権下での検閲行為を特定し是正措置を提案することを指示した。トランプ大統領は、バイデン前政権がオンラインプラットフォーム上の米国民の発言を検閲し、ソーシャルメディア企業等に圧力をかけたと批判している。

<AIリスクに対処する大統領令の撤回>
バイデン前大統領が2023年10月に署名した「AIの安全・安心・信頼できる開発と利用に関する大統領令(AI大統領令)」を撤回する大統領令を発令した。AI大統領令は、商務省傘下の国立標準技術研究所(NIST)に対しAI安全性テストの基準を策定すること指示するほか、国家安全保障に重大なリスクを及ぼす可能性のあるAIシステムを開発する者に対して、一般公開前にAI安全性テストを実施し、その結果を連邦政府に共有することを義務付けるものであった。大統領選挙に向けて共和党が2024年7月に採択した政策綱領では、AI大統領令がAIのイノベーションを阻害するとして、その撤回を公約として掲げていた。

<政府効率化省の設立>
政府効率化省(DOGE)を設立する大統領令を発令した。行政管理予算局傘下組織の米国デジタルサービス(USDS)を米国DOGEサービスに改称し大統領府内に再編する。ただし2026年7月4日まではUSDS内に期間限定でDOGE臨時組織を設立する。連邦政府のテクノロジーとソフトウエアの現代化を通じて連邦政府の効率性と生産性を最大限に高めることを目的とするが、具体的な役割は現時点では不明。イーロン・マスク氏がDOGEを率いる。なおDOGEは、連邦諮問委員会の機能や透明性について規定する「邦諮問委員会法」に違反しているとして、既に複数機関から提訴されている。