2024.12
立法以来の通信マルチメディア法改正案が可決
2024年12月、「通信マルチメディア法」の改正案が、下院にあたる代議院で可決され、その後上院にあたる元老院で可決された(1)。可決された法案は、「2024年通信マルチメディア(改正)法(Communications and Multimedia (Amendment) Act 2024)」となる。通信マルチメディア法の改正は、立法された1998年以来となる。
改正の主眼は、インターネット環境の安全性と持続性の確保である。そのため、改正法で、現存する犯罪のサイバー空間への展開を防止し、有害なコンテンツや過度に攻撃的な書込みの排除を行うための法的な基盤を形成した。近年マレーシアでは、ネットいじめや詐欺、児童ポルノの拡散が大きな社会問題となっており、2025年1月からはマレーシアでの加入が800万人以上のSNSは免許が必要になるなど規制を強化してきた。
主要な改正点として、アプリケーション・サービス・プロバイダー(ASP)とコンテント・アプリケーション・サービス・プロバイダー(CASP)に、当該情報の流通を防止するための責務を負わせた(2)。また、18歳以下の児童に対する攻撃に対しては、最長5年になる禁錮及び最大50万リンギットとなる罰金が規定された。改正にあたっては、表現の自由と規制されるべき内容について議論があり、政府は関係者の意見を聴取するための時間をかけたとしている。
同時に「2024年通信マルチメディア委員会(改正)法案(Communications and Multimedia Commission (Amendment) Bill 2024)」についても可決された。
(1) 元老院は下院を通過した法案を廃案する権限を持っていない。
(2) 2025年1月1日より一定の条件のSNS事業者はASPクラス免許を取得する必要がある(2024年8月記事参照)