英国の公共サービス放送事業者(Public Service Broadcasters:PSBs)は、信頼できる正確なニュースや、多様で質の高いコンテンツを視聴者に提供している。そのため、視聴者が公共サービス放送のコンテンツを簡単に見つけ、発見できることが重要となっている。
これまでの規制枠組みでは、PSBのリニアTVチャンネルは数十年にわたり広く利用され、電子番組ガイドで簡単に見つけられるようになってきた。しかし、「2024年メディア法(Media Act 2024)」が成立するまでは、オンライン・メディア環境におけるPSBのプロミネンスを確保する規則はなかった。
2024年メディア法は、コネクテッドTVプラットフォームで配信されるPSB TVアプリに対して、オンラインでの利用可能性と顕著性(プロミネンス)に係る新たな制度を導入することで、これまでの規制枠組みとのギャップを埋めるものである。この新たな制度により、国務長官が指定するコネクテッドTVプラットフォームは、Ofcomが指定するPSB TVアプリとそのコンテンツが利用可能で、目立ち、容易にアクセスできるようにすることが求められる。
そのため、新たな制度の導入の第一段階では、当該制度に該当するサービスの指定に焦点が当てられている。2024年メディア法で「テレビ選択サービス(Television Selection Services:TSSs)」と称されるコネクテッドTVプラットフォームに係るOfcomの役割は、当該サービスの指定に関する勧告書を国務長官(Secretary of State)に提出することである。その事前の作業として、OfcomはTSSの指定に関する原則と方法についての声明文書を発表しなければならない。
そのため、Ofcomは勧告書に盛り込む予定の原則と方法について意見を募集するため、2024年12月11日に公開諮問を開始した(注1)。意見募集の締切りは2025年2月5日となっている。
(注1)
https://www.ofcom.org.uk/tv-radio-and-on-demand/public-service-broadcasting/consultation-designation-of-television-selection-services/