競争市場庁(Competition and Markets Authority:CMA)は、ボーダフォンとスリーの合併を認める仮決定に関する問題解消措置作業報告書を、2024年11月5日に発表した(注1)。そのなかで、CMAは、ボーダフォンとスリーの合併の一環として、周波数の売却を強制する提案を却下した。CMAは、強制的な周波数の売却よりも、投資の約束を優先するとしている。ボーダフォンとスリーは合併が許可された場合、多額の投資を約束している。
2024年9月13日に公表されたCMAの第一次報告書は、暫定的に、当該合併は、是正措置が適用されない限り、英国の小売および卸売の携帯電話通信市場における競争を実質的に低下させる可能性があると結論づけた。
CMAは、事業者に対して周波数の売却を強制することが競争上の懸念を緩和するとは考えていない。また、周波数の売却が複雑であることも問題視している。MNOの参入という救済措置は英国ではリスクが高く、その意図する効果、すなわち本合併による競争の喪失を補うに足る新たなMNOの参入を達成する確実性が十分でない、と指摘されている。
CMAは、規制当局である通信庁(Office of Communications:Ofcom)からの助言を引用し、他の国々における問題解消措置としての周波数売却は「第4の事業者を復活させることに比較的成功していない」と述べ、「売却される周波数の量に関係なく」新しい事業者が市場シェアを獲得するのは依然として難しいと付け加えている。
(注1)
https://assets.publishing.service.gov.uk/media/672a2caa541e1dfbf71e8bc1/Remedies_working_paper_1.pdf