2024.12
強まるTikTokへの逆風、カナダ政府もTikTok国内事業停止を命令
トルドー政権は11月6日、安全保障上の懸念を理由に、中国の動画共有サービス「TikTok」のカナダ法人に事業停止を命じたと発表した。これによりトロントとバンクーバーにある事務所が閉鎖される。カナダ国民は引き続きTikTokを利用できるが、政府はユーザ・データが中国政府に収集される危険性があることを念頭に置き、注意してアプリを使用するよう呼び掛けている。
政府は「カナダ投資法」に基づき、2023年9月よりTikTokのカナダ事業拡大計画を国家安全保障上の観点から調査していた。調査の結果、同事業が国家安全保障に有害であるという結論に達したため、今回の措置に至ったという。
TikTokは事業停止命令を不服として提訴する方針。同社広報は、カナダ事務所を閉鎖すれば数百人の雇用が失われ、誰も得をしないとのコメントを発表している。
中国政府に対する情報漏洩への懸念から、TikTokへの逆風が世界的に吹いている。例えば、2020年にインド、2022年にセネガルとソマリア、2023年にネパールでTikTokの使用が禁止されたほか、2024年4月にはTikTokの国内事業売却か撤退を求める「TikTok禁止法」が米国で成立した。また、EUでは、フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長が2024年5月に「我々はTikTokの危険性をよく知っている」「TikTokを禁止する可能性は除外されていない」と発言していた。