2024.11
官民の機関がAIコンテンツの流布に関する課題を検討
仏視聴覚及びメディア・コミュニケーション規制機関(Arcom)は2024年10月、メディア産業の代表者と2023年から続けてきたAIのコンテンツ生産と流布への影響に関する委員会活動報告を実施した。
この報告の特徴は、AIが関与する制作物の内容に関する責任の所在を、メディア事業者が制作した場合は当該の事業者、SNSプラットフォーム上などで一般の人々が流布するコンテンツや情報については、SNS利用者やプラットフォーム事業者に帰することができるが、AIが自動生成・流布した偽情報等についてはどう対処するかが問題になっていることである。この問題については、情報の出処を見極めるトレーサビリティ技術の向上を図るとともに、現行の法規の何が適用できるか、新たな規制が必要であればどういう形をとるかについての議論の深化が必要とされている。
なお、9月末には仏文筆家協会(SGDL)とビジュアルアート制作家協会(ADAGP)生成AIに関する会員アンケート結果を共同発表した。回答者はおおむね生成AIソフトは自らの職業にとって脅威と考えており、その傾向は特にイラストレーター、漫画家、翻訳家で強い。回答者の78%が制作物が人間の手によるものかAIによるものかを区別するラベリングが必要とし、65%が有料でも自身の制作物をAIでの2次利用には提供しないとしている。また16%は生成AIの普及につれて受注量や報酬が減少したとしている。