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2024.07

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第4のモバイルキャリア参入、八度目のとん挫
約20年間3社体制が続く韓国移動通信市場で第4のキャリアを新規参入させる試みが2010年以降8回にわたり行われてきたが、今回も不発となり、政府の新規参入促進策の在り方が問われている。既存キャリア3社(SKテレコム、KT、LG U+)が免許条件不履行として割当てを取り消された28GHz帯で、今年初めに1社を新規参入させるためのオークションが開催された。その結果、MVNOのStage 5を中心とするStage Xコンソーシアムが驚くほどの高値で落札し、参入に向けた事務手続きを進めていた。しかし、同社の提出書類を検討した科学技術情報通信部が、6月中旬にStage Xに対し、周波数割当対象法人選定取り消しの手続きに入ることを発表。周波数割当ての必須要件であった、5月7日の期日までの払込資本金不足と、株主構成も申請と異なることが、割当対象法人選定取り消し理由に当たると判断された。

Stage Xが周波数割当申請書に書いた払込資本金額は2,050億ウォン(約225億円)であったが、5月7日時点の払込資本金はこれに到底及ばない金額とされている。さらに、期日までに主要株主6社が資本金を払い込む必要があったが、一部払い込みをした株主はStage 5の1社だけであった。Stage Xは9月までに資本金を払い込むことを主張するが、科学技術情報通信部はStage Xの資金調達計画を信頼できないと判断。6月末以降に「行政手続法」による聴聞を経て7月前半には選定取り消しが最終決定される見通しである。

これまでの8回の第4のキャリア参入策の失敗はいずれも、候補企業が中小企業で財務能力面に難ありと判断されたことが原因。今回は特に、これまでと違い、通信事業が許可制から登録制に変更されて以降初めての新規参入オークションであった。許可制時代は事前審査で候補者がすべて落とされてきたが、今回はオークションの前に資金力を審査する段階が無かったことが大きな反省点である。科学技術情報通信部は、総合的な研究チームを立ち上げ、周波数オークション制度を含めて多様な根本的問題と制度改善方法を議論するとしている。一方で、人口5,000万人ですでに飽和状態となっている移動通信市場に第4のキャリアを無理に参入させる必要はないという指摘も多く、政府の移動通信市場競争政策の今後が注目されている。