2024.05
欧州委員会、DSAの超巨大オンラインプラットフォーム及びDMAのゲートキーパーを相次いで追加指定
欧州委員会は、4月26日に中国系のファッション通販サイトSheinを「デジタルサービス法(DSA)」の超巨大オンラインプラットフォーム(VLOPs)に指定し、4月29日にはアップルのiPadOSを、5月13日には旅行予約サービスのBooking.comを「デジタルマーケット法(DMA)」のゲートキーパーに指定した。
Sheinに対するDSAのVLOPs指定は、VLOPsの閾値である月4,500万人以上のアクティブユーザを有することを踏まえて行われたもの。今後、Sheinは、2024年2月17日から全てのオンラインプラットフォームに対して課されている義務の遵守に加え、指定の日から4か月以内(2024年8月末迄)にVLOPsに対する義務の遵守体制を整える必要がある。
アップルのiPadOSに対しては、DMAの指定の定量的な閾値を満たしていないものの、欧州委員会が2023年9月5日から実施していた指定検討のための市場調査の結果、①ビジネスユーザの数は既に閾値を超え、エンドユーザの数も閾値近くまで達しており近い将来到達すると見込まれること、②アップルが自社の巨大なエコシステムによりエンドユーザをiPadOSにロックインしていること並びに③ビジネスユーザについても巨大で商業的に魅力的なユーザベースを有し、ゲームアプリ等のユースケースで重要性を持つiPadOSにロックインされていること等が確認されたとし、iPadOSがビジネスユーザの重要なゲートウェイの役割を果たしており、市場で確固たる地位を有しているとしてゲートキーパーに指定した。iPadOSに対するDMAの規律の適用は、指定の日から6か月後に開始される。
Booking.comのゲートキーパー指定については、2024年3月1日にBooking.comからDMAの指定要件を満たす旨の自己申告を受けてなされたもので、Booking.comに対するDMAの規律適用は指定の日から6か月後に開始される。
また、欧州委員会は、Booking.comと同様に2024年3月1日にDMAの指定要件を満たす旨の自己申告を行っていたX広告及びTikTok広告について、指定の定量的な閾値は満たすものの、ビジネスとユーザの間の重要なゲートウェイとしての機能を有していないと判断し、指定は行わないことを決定した。一方で、DMAの指定要件を満たす旨の自己申告と併せて、重要なゲートキーパーに該当しない旨の反論を提出していたXについては、欧州委員会が指定の有無を決定するための市場調査を開始。この調査は5か月以内に完了する予定となっている。