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2024.05

  • アメリカ
  • 放送・メディア
排除か提携か、生成AI巡り報道機関の対応割れる
生成AIをニュース産業の脅威とする声が根強い一方、生産性を向上させるツールとしての認識も広がっており、報道機関の対応が割れている。

新聞大手ニューヨーク・タイムズは2023年12月、ニュースコンテンツがAI学習用データとして無断使用されたとして、対話型AI「ChatGPT」を手掛けるオープンAIと同社に出資するマイクロソフトを著作権侵害で提訴した。報道機関がAI開発企業を訴えるのはこれが初めての例であったが、2024年4月には、シカゴ・トリビューンを含む地方新聞社8社も同様の理由で両社を提訴している。8社は、金銭的損害賠償を求めているほか、生成AIがユーザの質問に対し、新聞社が誤報したかのように回答するケースがあるため、新聞社の評判が傷つけられたと訴えている。

一方、AP通信は2023年7月、オープンAIとライセンス契約を締結したことを明らかにした。過去の一部ニュースコンテンツをAI学習に使用することを許可する代わりに、オープンAIの専門知識を報道活動に活用することで合意したという。2024年5月には、ウォールストリート・ジャーナルを傘下に持つメディア大手ニューズ・コーポレーションも同様の提携を発表した。米報道によれば、契約は5年間で総額2億5,000万ドルを超える可能性があり、オープンAIの報道機関との提携金額では最大規模となる。

なお、ロイタージャーナリズム研究所が2023年11月から12月にかけて、世界56か国における314の報道機関を対象に実施した調査によれば、多くの報道機関がAI開発企業とのライセンス契約を視野に入れているものの、先行きについては悲観的な見通しが強い。ライセンス契約による利益が全ての報道機関に平等に分配されると回答したのは全体のわずか5%で、35%は利益を得るのは大手報道機関のみと予想し、48%はどの報道機関もほとんど利益を得られないと予想した。