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2024.02

  • 南アフリカ
  • 金融
南アフリカ郵政公社(South African Post Office:SAPO)、郵便局内の社会保障給付金支払い所の閉鎖を開始
南アフリカの郵便事業体である南アフリカ郵政公社(SAPO)が、南アフリカ社会保障庁(South African Social Security Agency:Sassa)の社会保障給付金受給者向けの「現金支払い所(Cash Pay Points:CPP)」の閉鎖を開始した。ポストバンクの報道担当者は、2月の給付金支払いサイクル(2月2~24日)が郵便局内CPPの閉鎖の第1段階となると述べ、第1段階では、都市部のCPPや受給者が50人以下のCPPが閉鎖されるとした。
 
このCPPの閉鎖は、2023年7月に発表された、SAPOの再編と近代化を目標とした「事業救済計画(Business Rescue Plan)」に基づく施策の一環。
 
「事業救済計画」では、従業員約 6,000名を削減し、郵便局網は600局に縮小されることになっている。また、継続的に成果を生み出すことができなかった収益源は段階的に廃止するとしており、これには窓口サービス(Over the Counter:OTC)が含まれている。この窓口サービスの中に、社会保障給付金受給者向けのCPPがある。
 
「CPPの閉鎖により、社会保障給付金の受給者は郵便局以外の給付金受取所に行くためにお金を出さなければならず、負担が大きくなる」という市民団代の意見に対し、Sassaとポストバンクは、「CPPの閉鎖は、現金輸送強盗を減らして顧客の安全を守るためであり、また、郵便局のキャパシティの問題に対処するためでもある」とし、「受給者の98%がすでにBoxerやPick n Payなどの小売店で現金を受け取ったりATMで現金を引き出したりするなど、<全国支払いシステム(National Payment System:NPS)>の多様な窓口を利用しているため、CPPの閉鎖によって受給者が大きな影響を受けることはない」と述べた。
 
SAPOがSassaの給付金支給業務を開始したのは2019年5月。当初はテクノロジー企業ネットワン(Net1)の子会社キャッシュ・ペイマスター・サービシズ(Cash Paymaster Services:CPS)が行っていたが、2012年に最高裁が「社会保障給付金支給事業の入札は違法だった」との判決を下したことから、支給事業者の選定がやり直しとなった経緯がある。報道によれば、SAPOは、CPPへの現金輸送の保安費用を警備会社に払うため、毎月莫大な赤字を出しており、2020年から社会保障支給業務契約の打ち切りを検討していたとされる。
 
SAPOは給付金支給業務開始に先立ち、ポストバンクを分社化して子会社とし、銀行免許を申請していたが、2016年に第1段階の免許申請は承認されたものの、関連法規制の改正の遅延等により、免許の取得(第2段階)には至っていない。郵便局窓口は、現在でも、ポストバンクの物理的な支店ネットワークの重要な一部として機能している。
 
なお、長引くストライキや相次ぐ汚職などの問題を抱え、さらにコロナによる都市封鎖等の影響を受けているSAPOは、2007年以来赤字続きで、政府補助金によって破産を免れて存続していると言われる。