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2024.02

  • アメリカ
  • セキュリティ、プライバシー
米国のAI等を利用した偽情報・誤情報に対応する政策
ブルッキングス研究所は、2月7日、生成人工知能(AI)の選挙に与える影響に関するパネルディスカッションを開催した。生成AIツール登場後初めてとなる2024年の大統領選に向けて、州・地方自治体が準備を進めているが、パネルディスカッションでは、生成AIが誤情報の拡散や情報環境にどのような影響を与えるかについて議論された。
 
専門家等は、生成AIが虚偽情報拡散に使われるだけでなく、都合の悪い本当の情報をディープフェイクだと抗弁する候補者が出てくる可能性もあると指摘した。
 
一方で、パネリストのバレリー・ビルトシャフター氏が最近行った調査では、ChatGPTの登場以来、Xで誤解を与える可能性があるとフラグが付けられた投稿の内、AIが作成したものはわずか1%で、AIによる虚偽情報の拡散はまだ危機的状況には至っていないとしている。また、オンライン上の言論空間に影響を与える要因としては、多くのSNSでコンテンツのモデレーションが縮小していることも挙げられる。
 
一般的には、偽情報や誤情報への対策としては、信頼できる情報ソースへのアクセスを確保することが重要で、このような情報ソースには地方紙もあるが、ローカル・ジャーナリズムは財政面でも苦しい状態にあり、メディア企業がコスト削減のために生成AIを使うことが問題を悪化させることを懸念する声も出ている。
 
一方で、ニューハンプシャー州司法省は、2月6日、1月に人工知能(AI)で生成したと見られるバイデン大統領の声で予備選挙に投票しないよう呼びかけるロボコールが同州の有権者にかけられていた件について、発信元がテキサス州を拠点とする電気通信事業者のライフ・コーポレーションだったことを発表した。この件で明らかになった通り、生成AIは真に迫る虚偽情報の作成を容易にしており、2024年に世界で行われる選挙では、この課題にどう対処するかが試されることになる。
 
事業者側の対策としては、オープンAIは、AIツールを選挙活動に使うことを禁止し、DALL-Eが生成した画像の出所に関する詳細をエンコードすること、米国州務長官協会が運営するCanIVote.orgへのリンクを提供することといった対策を講じている
 
また、メタの監督委員会は2月5日、フェイスブックが2023年に改竄されたバイデン大統領の動画を削除しなかった件について検証結果を示し、改竄コンテンツに関するフェイスブックの規則に一貫性がないと指摘し、選挙前に、操作されたコンテンツに関するポリシーを明確化するべきだと提言した