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2024.02

  • アメリカ
  • 放送・メディア
第58回スーパーボウル、テレビ視聴者は過去最高、携帯電話事業者もインフラ増強
2024年2月11日、ラスベガス初の開催となったナショナル・フットボール・リーグ(National Football League:NFL)の第58回スーパーボウル「Super Bowl LVIII」は、史上2回目となる延長戦の末、アメリカン・フットボール・カンファレンス(American Football Conference:AFC)代表のカンザスシティ・チーフスが残り3秒で逆転となるタッチダウンを決め、25-22でナショナル・フットボール・カンファレンス(National Football Conference:NFC)代表のサンフランシスコ・49ersを下し、連覇を達成した。
 
チーフスは2020年からの5年間でスーパーボウルに4度進出、うち3度優勝、連覇は2024/2005年のニューイングランド・ペイトリオッツ以来19年振り。
 
当日の試合は、地上波ではParamount Globalが所有するCBSテレビジョンネットワークやスペイン語放送ネットワークのUnivisionで中継されたほか、同社傘下の子ども向けケーブルネットワークのNickelodeonやスポーツ特化のCBS Sports、ストリーミング配信のParamount+に加え、NFL+を含むNFLのデジタルプロパティ等で配信された。
 
テレビ視聴を計測する各社が発表したこの試合の視聴者数は、いずれも過去最高となる数字で、NFLが2月23日に発表したNielsenデータのカスタム調査によると、約2億1,000万人が視聴、これは米国人口のほぼ2/3に相当する。また、この調査では、1分当たりの平均視聴者数は約1億4,300万人となっている。
 
これは、CBSが2月12日に発表した1億2,340万、Nielsenが2月13日に発表した1億2,370万、また、Nielsenと競合する広告測定事業者iSpot.tvが2月12日に発表した1億2,660万人を上回る。
 
テレビ視聴を押し上げた要因の一つには、チーフス所属の主力選手トラビス・ケルシーとの交際が報じられている世界的な人気シンガーのテイラー・スウィフトが観戦に間に合うかがソーシャルメディア等で話題となったことも挙げられる。スウィフトは、この直前となる2月10日にThe Eras Tourの東京ドーム公演を行っていた。
 
全米屈指のビッグイベントであるスーパーボウルを支えるため、携帯電話会社各社は、1年以上前から試合当日に備えてスタジアムやその周辺のネットワークを増強する取組みを実施した。
 
例えば、Verizonは3年以上かけて、年間4,000万以上の観光客が訪れるラスベガス市内でのネットワーク増強に取り組み、市内で547マイル長以上の光ファイバを敷設、カジノやメインストリート周辺で160メガヘルツ幅のCバンド5Gにより5,200万平方フィートをカバー、さらに、観光客の玄関口となるハリー・リード国際空港やメインストリート、会場となるAllegiant Stadium内外でミリ波帯5Gを配備し、特にスタジアム内では、座席エリアやスタッフエリア、ラウンジ、プレス席、通路、入場口付近等でおよそ250機のミリ波帯5G無線装置を配備した。
 
Verizonは、試合当日に備え、24時間体制でラスベガス及びその周辺のコミュニティのネットワークを監視する技術者やエンジニアが常駐するVerizon Command Centerを開設。また、Verizonは、連邦政府や自治体の公共安全ユーザーをサポートするため、合同で開設されたEmergency Operation Centersに同社スタッフを常駐させた。
 
こうした取組みが功を奏し、試合当日にVerizonユーザーがスタジアム内外で消費したデータは52.34TBに上り、前年の47.8TBから9.4%増となった。下り速度は最大4.4Gbps、上りは同671Mbpsで、中央値では下り2.7Gbps、上り138Mbpsを記録し、競合他社より下りで3.8倍、上りで3.1倍高速だったという。観衆合計6万1,629人のうち50.5%がVerizonのネットワークを利用、うち70%がミリ波帯又はCバンド5Gにアクセスし、その数は前年の63%を上回った。Verizonによると、試合中のトラフィックが急増したのはキックオフとハーフタイムショーとなっている。
 
また、T-Mobileは、ラスベガス市内に同社の名前を冠する多目的スポーツアリーナ「T-Mobile Arena」を抱えており、また、2023年11月に開催されたF1のLas Vegas Grand Prixをサポートした関係から、以前から同市でのネットワーク増強に熱心に取り組んでいる。今回のスーパーボウルでも、スタジアム内外で、①フィールドやスタジアム全体をミッドバンド5Gでカバーするため62の屋内分散アンテナシステム(iDAS)セクタを設置、②スタジアム周辺で7の屋外DAS(oDAS)セクタを設置、③スタジアム内外でミリ波帯5Gネットワークを増強、といった恒久的な改修を行ったほか、メインストリートに並ぶ主要ホテルやその周辺施設で一時的なネットワーク増強を実施した。