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2024.01

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AT&TとGoogleがAST出資、StarlinkとT-MOが宇宙からSMS送受信成功などの進展続くダイレクト・ツー・デバイス(D2D)市場
2024年1月18日、AST SpaceMobileは、AT&T、Google、Vodafoneからの合計1億5,500万ドルの戦略的投資を含む、総額2億650万ドルの新規資金調達を発表した。
 
この投資は、楽天、American Tower、Bell Canadaといったワイヤレスエコシステムのリーダー企業による先行投資と並ぶもの。
 
AT&Tのネットワーク部門責任者であるクリス・サンバー上級副社長は、ASTとの取組みを通じて、テキスト、音声、ビデオでより多くの人々をつなぐために衛星が提供できる可能性は既に実証済みとし、今回の投資による関係深化は、世界中の消費者、企業、ファーストレスポンダーのための宇宙ベースのコネクティビティという共通ビジョン達成に協力するものとしている。
 
今回の投資は、ASTのネットワークの商業的展開を支援するためのもので、AT&Tからの2,000万ドルの売上コミットメント(最初の商業衛星5基の打ち上げと初期運用の成功が前提)やVodafoneからの2,500万ドル以上の売上コミットメントが含まれる。
 
これらの投資に加え、新たな投資家は、SpaceMobileネットワークの構築を支援するため、戦略的・商業的関係を拡大しており、AT&TとVodafoneは、予定されている商用サービスをサポートするため、ASTからネットワーク機器を非公開の金額で発注したほか、GoogleとASTは、Android及び関連機器でのSpaceMobileネットワーク接続のための製品開発、テスト、導入計画で協力することに合意している。
 
ASTは現在、低地球軌道(LEO)上で史上最大の商業通信アレイとなる試験衛星「BlueWalker 3」衛星を運用中で、2023年には、パートナーであるAT&T、Vodafone、楽天、Nokiaと協力し、2G、4G LTE、5Gの双方向音声通話や、5MHzチャンネル当たり14Mbpsのダウンロード速度達成など、宇宙から通常販売されている未改修のスマートフォンへの直接接続を実現し、宇宙ベースのセルラー通信における複数の歴史的な技術的試験を成功させた。
 
ASTが開発中の軌道上技術は、合計20億以上の加入者を持つ世界40者以上の移動通信事業者(mobile network operator:MNO)との契約・合意を通じて、世界中の携帯電話接続ギャップを解消するソリューションとなり得る。
 
ASTは今後、本衛星となる5機の「Block1 BlueBird」を2024年に打ち上げた後、年内に最初の商用サービスを開始し、さらにサービスを世界規模で提供するために90基の衛星打ち上げを計画している。
 
こうしたダイレクト・ツー・デバイス(direct-to-device:D2D)又はダイレクト・ツー・セル(direct-to-cell:D2C)サービスは、さまざまな企業が実現に向けて取組みを進めており、2022年9月にAppleが販売を開始するiPhone 14シリーズにGlobalstarの衛星経由の緊急SOSテキストメッセージ機能を追加したことで注目を集めた。
 
また、2022年8月には、T-MobileとSpaceXが提携を発表し、iPhone以外にもD2Cサービスを提供する取組みを進めている。2024年1月2日には、宇宙から直接スマートフォンに電話信号を送信可能なStarlink衛星の最初のセットとなる6基が打ち上げられた。SpaceXは1月8日、このD2C衛星からT-Mobileネットワーク周波数を使って最初のテキストメッセージ送受信を行ったことを明らかにしている。数百キロ上空を時速数万マイルで飛行する衛星から携帯電話への通信を実現するためには、衛星間のシームレスなハンドオフ等の技術が必要となる。D2Cのペイロードを搭載したStarlink衛星は、革新的な新しいカスタムシリコン、フェーズドアレイアンテナ、高度なソフトウェアアルゴリズムを備え、さまざまな技術的課題を克服し、地上の携帯電話に標準的なLTEサービスを提供する予定。SpaceXは、このD2Cネットワークにより、2024年にテキストサービス、2025年に音声、データ、IoTサービスを可能とするため、合計800基以上となる衛星コンステレーションを迅速に打ち上げる予定。
 
SpaceXは、その他、日本のKDDI、オーストラリアのOptus、ニュージーランドのOne NZ、カナダのRogers、スイスのSaltと協力し、D2Dサービス開始を計画している。
 
その他、D2D市場を巡っては、Lynk GlobalやSkylo Technologies、Omnispaceといったスタートアップや、Iridium、Intelsat、Inmarsatといった従来からの衛星事業者も提供に向けた取組みを行っている(2023年1月に発表されたQualcommとIridiumの提携は、、機器ベンダーによるチップ搭載が進まないことを理由に、同年11月に解消。)。
 
なお、FCCは、2023年3月に、衛星事業者に一部の地上通信向け周波数帯へのアクセスを認めることで、衛星からスマートフォン等に直接接続して地上通信が利用できない地域でも通信可能とするサービス「宇宙からのカバレッジ補足(Supplemental Coverage From Space:SCS)」枠組みを提案、検討を進めている。