[HTML]
H1

詳細ページ

お知らせ表示

2024.01

  • アメリカ
  • 次世代ICT
大統領選でのAI悪用防止対策進むも、懸念拭えず
2024年11月の大統領選挙を控え、生成AIの影響増大に懸念が高まっている。選挙陣営が生成AIを活用して選挙活動を行う一方、ディープフェイクによる偽情報の流布も発生しており、議会はAIが生成した政治的コンテンツを規制する法案の作成に奔走している。連邦レベルでは、選挙広告での生成AI利用を制限する超党派法案として「欺瞞的AIから選挙を保護する法案(Protect Elections from Deceptive AI bill)」が2023年9月に提出された。州レベルでも、同様の法律が21州(AK、AZ、FL、IA、IL、IN、KS、KY、NE、NH、NJ、NM、NY、OH、SC、SD、UT、VA、WI、WV、WY)で施行済、1州(HI)で施行保留中、5州(CA、MI、MN、TX、WA)で制定済、2州(MA、OK)で審議中である(2024年1月23日現在)。
 
また、大手IT企業もそれぞれに取組みを実施している。その主な内容は以下のように整理される。
<グーグル>
*AIを用いて現実的に見える人物・出来事を描写した選挙広告について、ラベル表示を義務付け
*対話型AI「Bard」で回答する選挙関連の質問の種類を制限
<ユーチューブ>
*AIを用いて現実的に見える人物・出来事を描写した選挙関連動画について、ラベル表示を義務付け
<メタ>
*選挙広告での生成AI広告ツール「Ads Manager」の使用を禁止
*AIを用いて現実的に見える人物・出来事を描写した選挙広告について、ラベル表示を義務付け
<マイクロソフト>
*AIが生成したコンテンツを判別するためのツールを選挙候補者に提供
<オープンAI>
*対話型AI「ChatGPT」やAPIを用いて、政治運動やロビー活動のためにアプリを作成すること、実在する人物・機関になりすましたチャットボットを作成すること、投票を抑止するようなアプリを作成することを禁止
*画像生成AI「DALL-E」の生成画像を判別するためのツールを提供
*ChatGPTに選挙関連の質問を投げかけたユーザに対し、報道機関サイトや全米州務長官協会サイトへのアクセスを提供
 
しかしながら、AIが生成した政治的コンテンツは増加の一途を辿っている。ニュースサイト格付機関のニュースガードによれば、AIが生成する偽情報を配信するウェブサイトの数は2023年5月の49から2024年1月の659に急増しており、増加率は1,244%に上る。また、1月22日には、ニューハンプシャー州がバイデン大統領の声をAIで生成したと見られるロボコールが有権者に発信されていたことを明らかにした。ロボコールは民主党委員会が発信元であるかのように偽装され、バイデン大統領に似た声で、予備選挙に投票しないよう呼びかける内容だったという。
 
米国大統領選挙は、共和党予備選挙が1月23日、民主党予備選挙が2月3日に開始され、11月5日に本選挙の投開票を行う。