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2024.01

  • ニュージーランド
  • 放送・メディア
ゲーム産業の成長率が7%に低下、激しさを増すオーストラリアとのゲーム産業拡大に向けた競争
ニュージーランドゲーム開発者協会(NZGDA)は12月19日、ニュージーランドのゲーム産業に係る2023年1の年間報告書を公表した2。同協会は報告書にて、ニュージーランド内で高まるゲーム産業の存在感と、ニュージーランドとオーストラリア両国によるゲーム産業の成長に向けた熾烈な競争を報告している。

同国におけるゲーム開発企業全体の年間収益は、4億3,440万NZDまで拡大しており、その収益の95%は付加価値の高いデジタル輸出によるもので、ゲーム産業はニュージーランドで最も生産性の高い輸出部門の一つとなっている。一方で、隣国のオーストラリアが設けた税制優遇措置による競争の激化や、コロナ禍による巣ごもり需要の沈静化によって、ニュージーランドにおけるゲーム産業の年間成長率は前年の47%増に対し、7%増に留まった。ゲーム産業の過去5年間における平均成長率は26%となっている。

この原因として挙げられているオーストラリア政府による税制優遇措置は、2021年5月公表のデジタルエコノミー戦略の中で提示された、連邦レベルでは初のゲーム産業を対象とした税制優遇措置である「デジタルゲーム・タックスオフセット(Digital Games Tax Offset:DGTO)」(2023年6月23日承認、2022年7月1日から遡及適用)であり、50万AUD以上の支出が必要なもののゲーム開発費の最大30%まで相殺可能な税額控除となっている。その他にも、スクリーン・オーストラリアのゲーム助成プログラムによる最大3万AUDの助成金、各州政府が独自に提供している助成金制度等が存在している。これらの制度整備から、より高い報酬を提示可能になったオーストラリアのゲーム開発企業によって、人材の引き抜きがニュージーランドのゲーム産業に対して行われた。結果、同国のゲーム開発企業による採用は大幅に制限される事態となった。

このオーストラリア政府による税制優遇措置に対抗して、ニュージーランド政府は2023年度予算にてゲーム開発部門へ年間4,000万NZDの助成金を支出することを決定した。同制度は「ゲーム開発セクタ・リベートスキーム(Game Development Sector Rebate scheme;GDSR)」と呼ばれており、ゲーム開発企業の対象支出(25万NZD以上の支出)のうち20%を、最大300万NZDまで割戻し可能である。GDSRは、2023年4月1日から遡及適用され、2024年4月1日より申請可能となっている。

NZGDAのルダック会長は、ニュージーランドの新たなゲーム産業支援によって、同国のゲーム産業が再び高い成長率を取り戻すだろうという楽観的な考えを示しており、「GDSRの影響が1~2年以内に我々の収益に反映されるとは思っていないが、すでに開発企業による関心と投資の新しい波が押し寄せている」と述べている。

1対象期間は2022年4月から2023年3月末
2 https://nzgda.com/news/nz-interactive-media-industry-survey-2023/