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2023.11

  • アメリカ
  • 電波関連
バイデン政権、国家周波数戦略を公表
2023年11月13日、バイデン政権は、国家周波数戦略と、米国の周波数政策の現代化に関する大統領覚書を公表した。

この国家周波数戦略は、国家電気通信情報庁(NTIA)が、FCC及び周波数をその任務のために利用する行政府の諸機関と協力して策定したもの。また、大統領覚書は、明確で一貫性のある周波数政策と、周波数関連の紛争を効果的に解決するためのプロセスを確立するものとなる。

これらの文書は、米国の先進ワイヤレス技術におけるイノベーション、競争、セキュリティの青写真を示すもので、希少な国家資源である周波数の管理及びアクセスを改善する新たな行動を含んでいる。

その中には、民間セクタと公共セクタの双方が米国すべてのコミュニティに対して重要なサービスを提供するために必要な周波数資源を確保するため、2700メガヘルツ幅以上の周波数再利用の可能性を調査することも含まれており、この帯域幅は、NTIAが当初目標としていた1500メガヘルツ幅のほぼ2倍に相当する。また、この周波数目標には、次世代サービス用としてワイヤレス業界で需要の高い周波数帯であるミッドバンド周波数1600メガヘルツ幅以上も含まれている。

国家周波数戦略は、省庁間の連携を強化し、イノベーションを促進し、効率的な周波数利用を確保するためのさらなるステップとして、周波数政策が米国のイノベーション、経済活力、セキュリティを促進するために不可欠な行動を含む次の四つの柱が明示されている。

■1 先進・先端技術で米国のリーダーシップを確保する周波数パイプライン

短期的な周波数ニーズへの対応となるもので、民間セクタでの利用可能性のある2786メガヘルツの周波数帯について詳細な短期調査を実施する。調査対象となる帯域は、①3.1-3.45GHz、②5.03-5.091GHz、③7.125-8.4GHz、④18.1-18.6GHz、⑤37.0-37.6GHzの五つ。この帯域の組み合わせは、ワイヤレスブロードバンド、ドローン、衛星運用を含む様々な用途をサポートする可能性がある。国家電気通信情報庁(NTIA)は2年以内に調査を完了する予定。

■2 国の深化する周波数ニーズをサポートする協力的な長期的な計画

民間の利害関係者と政府機関は、必要不可欠な製品とサービスを提供するために周波数を必要としており、周波数割当に関する長期的な決定には広範なインプットと透明性のあるプロセスが必要となる。これら目標を達成するため、本戦略は次のステップを示している。

①長期的な周波数計画のための協調的、協力的枠組み
*周波数割当の決定において、業界の利害関係者、連邦政府機関、諮問グループからの意見を全面的に取り入れる強固なプロセスを開発する。

②周波数割当の決定のための証拠に基づく手法
*透明性のある割当決定を支援するため、異なる周波数割当オプションの利益を定量化する技術的・経済的分析のベストプラクティスと同様に、価値観に基づくモデルを開発する。

③国家周波数戦略の定期的な更新

■3 技術開発による前例のない周波数アクセス及び管理

周波数イノベーションを加速させ、米国がこの重要な技術で最先端であり続けることを確実にするため、本戦略は、米国政府が12-18か月以内に研究を進め、投資インセンティブを創出し、周波数アクセス技術を進歩させるための測定可能な目標を設定する野心的な取組みを示している。米国政府が産業界と協力して行うこの取組みには、次が含まれる。

①周波数テストベッドの設立
*12-18か月以内に動的周波数共用(DSS)のための国家テストベッドを設立し混雑した帯域でより集中的な利用に開放できるようにする先進的な技術開発に注力する。
*屋外ワイヤレステストベッドの利用可能性を向上し、周波数「サンドボックス」(周波数研究の専用エリア)の設置も検討する。

②国家周波数研究開発(R&D)計画の開発
*科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy:OSTP)は、周波数イノベーションを支援するために取り組むべき主要分野を特定するためにこの計画を策定する。

③民間セクタのR&Dの奨励
*連邦政府機関は産業界、技術開発者、学術界と協力し、クラウドベースの周波数管理やAIを活用した手法など、イノベーティブな技術や技法を通じて動的周波数共用を促進する。
*NTIAは、共用アクセスを管理するための共通周波数管理プラットフォームの開発を推進する。

■4 周波数専門知識の拡大と国民意識の向上

米国の長期的な周波数イノベーションは、最先端の周波数労働力と、米国社会における周波数の重要な役割に対するより広範な国民の理解に依存する。周波数の専門知識と意識を促進するため、本戦略は次の行動を示している。

①国家周波数労働力計画
*バイデン政権は、将来の周波数エコシステムにおいて、運用、技術、政策のあらゆる役割を担える人材を育成するための計画を策定し、定期的に更新する。

②政策立案者と国民の教育
*連邦政府機関は、州政府、地方自治体、部族政府を含むあらゆるレベルの政策立案者が周波数に関する決定に必要な情報へのアクセスを確保するために作業する。
*政権は、周波数が日常生活で果たす役割について、一般市民への啓蒙を優先する。

また、今回の「米国周波数政策の現代化と国家周波数戦略の確立に関する大統領覚書」は、希少な国家資源である周波数がその最高かつ最善な利用を確保するために信頼できる、予測可能で、証拠に基づくプロセスを促進するもので、NTIAに対して、大統領に国家周波数戦略を提供するよう指示することで、同戦略の基礎となる。また、米国の周波数政策が次のような方法で調整され、一貫したものとなるよう、連邦政府機関によるさらなる行動を指示している。

*NTIAとFCCによる米国の周波数資源の共同管理を再確認し、NTIAが周波数問題に関する大統領の主要な助言機関であり、FCCが検討する案件において政権の代弁者であることを再確認する。

*周波数政策についてNTIAに助言を行う政府高官のための主要な省庁間フォーラムとして「周波数諮問評議会」を設立する。同評議会は連邦周波数割当を保有する、あるいは、周波数関連の法的権限を有する省庁で構成される。

*周波数問題に関して行政が取るべき立場を巡ってNTIAと省庁の意見が対立する場合、ホワイトハウスが主導する紛争解決プロセスを創設し、ホワイトハウスがそれら問題を解決する方法を定める。

バイデン政権は今後、戦略の実行計画の策定と公表を調整する予定。