スペイン閣僚理事会（内閣相当）は、2023年11月、「AI規制サンドボックス」の導入に関する規則を採択したことを発表した 。将来のAI規制に必要な要件の解明と法制度への反映、信頼性のあるAIシステムの開発促進、技術ガイダンスの作成を目的に、高リスクの可能性があるAIシステムが市場に投入される前に、管理された環境において実証試験を行い、安全性・人権保護の問題がないか技術・制度面から検証を行うもので、AIシステムの開発・提供を行う民間企業・公共機関に対し、規制サンドボックスに参加することを要求する権限が、経済デジタルトランスフォーメーション省（MINECO）に与えられた。
規制サンドボックスの対象となるAIシステムは以下の通りであり、管理されたテスト環境において高リスクが指摘されたAIは、リスク緩和又は開発の一時停止が求められる。
＊第三者による評価を法的要件とする規制対象製品（医療機器、機械など）に実装されるAI
＊自律AIシステム（生体認証・人の分類、クリティカルインフラストラクチャの管理・運用、職業教育・訓練、雇用・労働者管理、官民のエッセンシャルサービスの利用、法律の執行、出入国・亡命・国境管理、司法行政・民主プロセスに関わるもの。
なお、AI規制サンドボックスは、EUのAI規則案において提示されたもの。同規則案は欧州委員会・欧州議会・EU理事会の三者協議（Trilogue）の段階にあるが、EUでの規則成立に先立ち、スペイン政府は、EU議長国としてAI規制サンドボックスを率先して導入し、その結果を踏まえ、信頼性と品質の高いAIシステムの開発へ向けたガイドラインとベストプラクティスをEU域内で共有するとしている。
1https://portal.mineco.gob.es/es-es/comunicacion/Paginas/entorno-controlado-de-pruebas-sandbox-del-Reglamento-Europeo-de-Inteligencia-Artificial.aspx