2023.09
米国初となる低出力TV局による5G放送デモが成功、1年後には商用展開も
2023年9月13日、Xgen Networkは、米国初となる5G放送をボストン地域の低出力TV(LPTV)局「WWOO-TV」が開始したことを発表、デモ動画をYouTubeに公開した。
デモでは、同局で放送されている「France 24」ニュースチャンネルのライブフィードを、UHF帯を使う低出力の5G放送信号でストリーム配信、大画面テレビに接続された5G対応セットトップ受信機(STR)と、UHF帯でフィルタリングするように改修されたQualcommの「リファレンスデザイン(QRD)」試作スマートフォンでHD動画(1080p)を視聴する概念実証(POC)に成功している。また、このデモでは、5G放送信号による緊急警報の配信もテストされた。
Xgen創設者で、LPTV放送事業者協会(LPTVBA)の創設者でもあるスーパーフランク・コプシダス氏によると、動画やその他の情報の暗号化されたデータをファーストレスポンダーの携帯電話端末に直接送信することもできるという。
コプシダス氏は、5G放送技術はまだ「黎明期」にあるとしつつ、今から1年後くらいには米国で一般に提供される見込みだと語った。
また、デモ動画では、FCCのネイサン・サイミントン委員から5G放送の発展を支持するメッセージも紹介されている。
このフィールドトライアルには、WWOO-TVとQualcommの他にも、Ateme(エンコーディング)、Westpond Technologies(データエンコーディング)、Rohde & Schwarz(ブロードキャストチェーンとトランスミッター)、Nakolos(スマートフォンアプリ)など、複数のパートナーが参加している。
今回のデモは、低出力のUHF帯を利用して全国的な5G放送システムを構築する広範な計画の一環で、既存の双方向5Gセルラーネットワークを補完することも意図されている。初期の使用例としては、5Gスマートフォンへのローカルテレビ信号の放送、モバイル5Gネットワークの混雑緩和、消費者への緊急警報送信、ファーストレスポンダーへのファイル、ビデオ、その他の重要情報の配信などが想定されている。
今回のデモに先立ち、WWOO-TVは、FCCから5G放送システムをテストするための特別暫定許可(Special Temporary Authority:STA)を取得していた。