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2023.04

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拡大するTikTok禁止の動き、市民団体や進歩派議員から慎重論も
昨年末以来、米国では中国系短編動画投稿アプリ「TikTok」を禁止又は制限する動きが活発化しており、公用利用のみならず一般利用も禁じる流れが出来つつある。

連邦レベルでは、行政管理予算局が今年2月に、連邦政府所有端末でのTikTok利用を禁止する「No TikTok on Government Devices Act」に基づき、連邦政府機関に対し30日以内にTikTokアプリを完全削除するよう指示する覚書を発出したほか、3月には下院エネルギー・商業委員会がTikTokの周受資CEOの公聴会を開催した。中国共産党との関係をはじめとする議会側の懸念に対し、周CEOは繰り返し潔白を主張し「米国ユーザのデータは米国内で米国企業が管理することを約束する」と対応策強化を強調したが、議員らは納得した様子を見せず、両者の主張は平行線を辿った。公聴会は5時間に及んだ。

また、米国内のすべての端末でTikTokアプリをダウンロードすることを禁止する「No TikTok on United States Devices Act」法案、敵性国家に拠点を置く又はその影響下にあるソーシャルメディア企業との取引を禁止する「ANTI-SOCIAL CCP ACT」法案、TikTok利用を全面禁止する権限をバイデン大統領に与える「DATA Act」法案、敵性国家の影響下にある技術を禁止する権限を商務省に与える「RESTRICT Act」法案等が議会に提出されている。

州レベルでは、30州以上が州政府所有端末でのTikTok利用を禁止又は制限しているほか、20校以上の公立大学が学内Wi-Fiや大学所有端末でのTikTok利用を禁じている。また、モンタナ州では、州内でのTikTok利用を全面禁止する法案が今年4月に同州議会で可決された。グレッグ・ジアンフォーティ知事が署名すれば、同法案は2024年1月に施行され、モンタナ州はTikTokを全面禁止する米国初の州となる。

ただし、このような動きを懸念する向きもあり、市民団体グループや民主党進歩派議員らからは、TikTokのみを対象に急進的に禁止措置を講じることは表現の自由に深刻な影響を与えるだけでなく、政府が支持しないサービスを閉鎖する権威主義的体制に正当性を与えかねないとの声が上がっている。

世論でも賛否が分かれている。クイニピアック大学が成人1,795人を対象に実施した世論調査によれば、TikTok全面禁止を支持したのは全体の49%。支持率を年代別に見ると18~34歳(33%)、35~49歳(46%)、50歳以上(60%)となり、支持政党別では民主党支持者(39%)、無党派層(50%)、共和党支持者(64%)となった。

TikTokの米国ユーザ数は1億5,000万人に上る。また、500万超の米国企業が同アプリを活用している。