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2023.03

  • アメリカ
  • 郵便・物流
USPS、2023年度の財務目標達成に遅れ
USPSは、長らく延期してきた車両や配送網のアップグレードを2023年中に実施する計画だが、2023会計年度の財務目標達成には、遅れが生じている。USPSが先ごろ、郵便規制委員会(PRC)に提出した書類では、2023年1月の純損失が10億ドル以上に達し、2023年度に入ってからの純損失は累計20億ドル以上になることを報告した。
 
USPSは、PRCから与えられた権限を最大限に活用し、市場支配的商品についてインフレ率を上回る値上げを実施し、ファースクラスメールの郵便料金を、2022年7月に57セントから60セント、2023年1月にさらに63セントに値上げした。
 
USPSは、2023会計年度の「Integrated Financial Plan (統合財務計画)」で、「郵便料金値上げが郵便物数の減少による収入減を補って余りある」と報告していたが、実際には値上げによる収入増は経費の増加ペースに追いついていないと見られる。
 
「統合財務計画」は、2023年度に24億ドルの収入増を見込んでいるが、制御可能な経費が14億ドル増加することも予想。高インフレによる賃金と福利厚生の上昇が、経費増の最大の要因になると見られている。USPSは、労働時間を3,200万時間削減することで、この増加を相殺しようとしており、2023年度はこれまでに、前年同期から労働時間を5.6%削減している。
 
2023年度のこれまでのファーストクラスメール数は、前年同期から5.2%減少しているが、収入は1%増加。また民間と競合する競争的商品の取扱数は、3.2%減少したが、収入は2%増加。このことから料金値上げで期待していたほどの収入増を実現できていないことが分かる。
 
USPSのルイス・デジョイ総裁は、2022年11月、USPS経営委員会に対して、2023年度の「損益分岐目標」を達成する目処が立っていないと報告し、記録的なインフレと連邦退職基金への拠出をその理由に挙げた。
 
なお、USPSは10年軽計画「Delivering for America」で、早ければ2023年、遅くとも2024年には年次財政の収支均衡を達成し始め、2030年には2億ドルの純利益を計上できるようになるとしていた。