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2022.04

  • 中国
  • 郵便・物流
新型コロナウイルスの感染拡大を受けロックダウンした上海市の物流対応
上海市は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け3月28日からロックダウン(都市封鎖)を開始した。

DHL、フェデックス、UPSのインテグレータ―3社は、この影響を受けた。フェデックスは、「上海浦東(PVG)物流基地は今も普段どおり営業」としたものの、DHLは、「上海にある北アジア物流基地(North Asia Hub)での集荷・配達サービスは、停止されている。同基地は業務継続計画を始動させた」と発表し、UPSも顧客向けに「浦東、浦南、およびその近隣の地域で、すべての集荷・配達サービスを当面停止する」とするアラームを発した。

上海市は、当初、宅配便やデリバリーの業務を一時停止するというデマが流れたため、市は4月6日に会見を開き、デリバリーを含むECプラットフォームの配達員約1万1,000人が配達を行っているとし、さらにこれら第一線で働く人を対象に、1日1回、PCR検査と抗原検査を行い、「陰性」を確認してから仕事を始めるスタイルを採用して、「人」、「物」、「場所」に対して感染予防対策を講じていると説明した。

また、生鮮食品の宅配サービス需要の拡大で、価格つり上げ行為が頻発したことを受け、上海市市場監督管理局は、電子商取引(EC)企業に対して、コンプライアンス(法令順守)を改めて要請した。同時に、配達員の管理強化も求め、EC企業には、配達員による悪質な配送料金のつり上げを防止するための措置を取るよう命じた。

上海市では、4月18日には、ECへの配送注文が10日間で100万件増加し、220万件に達したという。配達員の感染対策へも関心が高まり、上海市商務委員会は同市郵政管理局と共同で、ECプラットフォーム・宅配部門の企業や配達員のホワイトリストを作成した。19日からは、PCR検査結果を行う場合、PCR検査コードの代わりにリアルタイムの随申碼(健康コード)を使って身分認証やPCR検査の登録を行う他、上海市ビッグデータセンターの技術プラットフォームを活用し、ホワイトリストに基づいて、配達員に電子通行証が発行される。その電子通行証には、配達員が勤務する際に必要となる48時間以内のPCR検査の「陰性」証明や健康グリーンコードなどの情報が含まれる。また、配達員専用の無料PCR検査レーンを設置したり、PCR検査の結果を優先的に出したりして、配達員向けの環境を整えている。さらに、上海では、配送に従事する従業員の住む小区(集合住宅)が7日間連続で新型コロナウイルスの感染者が確認されなかった場合、その従業員がすぐに職場に復帰できるよう支援している。

EC大手の京東集団(JDドット・コム)は4月13日に、上海市への生活物資の供給力を強化するため、全国で配達員を大量採用すると発表した。それ以外にも、クラウドソーシングを通じて配達員を2,500人余り募集。上海市と江蘇省昆山市の物流倉庫に代わり、両市以外の華東地区の物流倉庫の容量を拡張して注文の急増に対応する計画も明らかにした。京東のウェブサイトによると、数日前には3~4日だった上海市への配達日数が10日程度に延びていた。

EC最大手、阿里巴巴集団(アリババ・グループ)の物流子会社である菜鳥網絡(Cainiao)は4月17日時点で、上海市の支援策等により復職した配達員も増え、上海市にある配送拠点のうち3分の2が営業を再開し、1日当たりの配送量も4月10日前後に比べ約5倍までに増えているという。同じくアリババ傘下のECサイト「天猫(Tモール)」のオンラインスーパー「天猫超市」も菜鳥の配送網を利用し、停滞していた上海の3月注文分の配送を開始したが、それでも厳しい現状は続いており、新しい注文は受け付けられないという。