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2022.02

  • 韓国
  • スマート社会
政府と業界が本気で取り組むメタバース
2022年の韓国ICT分野最大のトレンドは、2021年に引き続きメタバースが続く様相である。昨年から複数主要国の大手ICT事業者がメタバースに力を入れだしているが、韓国では業界だけでなくメタバースに特化した促進政策が矢継ぎ早に打ち出されて官民を挙げた盛り上がりを見せていることが大きな特徴である。従来メタバースが利用されてきたエンタメ・ゲーム分野以外の、日常生活や産業分野での非対面プラットフォームとして新技術を活用しながらメタバースを使いこなそうとする意気込みを見せている。

2022年1月にはメタバース国家戦略の「メタバース新産業先導戦略」が発表された。戦略を通じて2026年までにグローバル・メタバース市場シェア5位、メタバース提供企業220社育成等の目標を掲げ、24のプロジェクトを実施する。個別プロジェクトでは、日常生活や経済活動10分野で新類型のメタバースプラットフォームを立ち上げる。五輪やエキスポ等の国際イベントや展示会を現実とハイブリッドさせたメタバースイベントも実施する。プラットフォーム成長基盤整備のため、中核5技術開発を支援し、中長期メタバースR&Dロードマップも策定する方針。さらに、国家戦略を受けた措置として、2022年中にメタバース中小企業の合従連衡を誘導するため、政府出資の100億円規模のメタバース企業M&Aファンドも立ち上げる。

メタバース活用に伴う権利関係や倫理面の課題の整理も並行して進められる。ICT分野個人情報保護政策を担当する放送通信委員会が、2022年から有識者とメタバース利用者政策を整備するための協議体を立ち上げる。協議体は政策と産業の二つの分科会で構成し、アバターの人格権、デジタル所有権問題、デジタル格差解消及びリテラシー強化等を議論する予定。

韓国の現在の主なメタバースプラットフォームはNaver Zが提供するZepetoと、モバイルキャリアSKテレコムが2021年から提供するiflandが二強とされる。Zepetoは登録数2億人以上のアジア最大のメタバースプラットフォームでもある。2021年はこれらのプラットフォームを利用した、大学入学式や講義、企業研修等の多様なイベントが行われた。サムスン電子はZepetoで自社製品アピールの場としてメタバースのMy Houseサービスを2022年初めに開始し、注目を集めている。My House活用でグローバルなMZ世代へのブランド浸透をねらいとしている。

産業界では、現実環境をそのまま仮想空間に構築するデジタルツインと融合する形でメタバースを積極的に取り込み、現在、大手企業の工場や病院、コマース等の幅広い業種で段階的導入計画を進めている。政府と業界が本気でメタバースに取り組む韓国での2022年の進捗が大いに注目される。