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2022.01

  • ドイツ
  • 郵便・物流
ドイツポストDHL、ストリートスクーターの製造権を売却
ドイツポストDHLは2022年1月4日、傘下の電動配達車メーカーのストリートスクーター・エンジニアリング社(StreetScooter Engineering GmbH)を、ルクセンブルクに本拠を置くオーディン・オートモーティブ社(Odin Automotive S.a.r.l.)に売却することで合意した。これにより、オーディンがストリートスクーターの製造権を取得することになった。

オーディン・オートモーティブ社は2021年9月初めに設立された自動車専門家集団が率いる自動車ホールディングカンパニー(automotive holding company)。ラストワンマイルでの人や物の輸送をゼロエミッションに変えることを目指しているという。

今回合意された契約条件により、オーディンは「D17」および「D20」の2車種の知的所有権、ならびにスイスと日本の全額出資子会社の所有権を取得する一方、ドイツポストDHLはオーディンの10%株式を取得する。

オーディンは、この買収と同時に、ドイツポストDHLが配送車両電動化を継続するための、最低3,500台のストリートスクーター車両の追加注文を獲得した。

なお、ストリートスクーター社(StreetScooter GmbH)は、今回の売却の対象とはならない。ドイツポストDHLはこの会社を引き続き傘下に置いて、車両の部品やバッテリーを供給させ、ストリートスクーターを2万1,000台以上に増やす計画の推進と、既存の電気自動車の保守管理に利用する。

2010年に民間研究プロジェクトの一環として設立され、2014年にドイツポストDHLが買収したストリートスクーターは、ドイツポストDHL向け配送車両を1万7,500台以上、さらに欧州各地と日本で合計5,000台の車両を導入しており、世界で運用されている小型商用電気自動車の中でも最大規模を占める。

ストリートスクーターは、ドイツポストDHLのディーゼルエンジン車の電動化に向け、配達用バン、電動アシスト自転車、電動三輪車などの電気自動車を製造しているが、度重なる技術的問題、積載能力不足、何年にもわたる赤字を受け、ドイツポストDHLは2020年2月に製造を終了することを決めていた。

ストリートスクーターの買収については、インドネシアの国営持株会社インドネシア・バッテリー・コーポレーション(IBC)が、一部株式の取得を狙っていると伝えられたが、バフリル投資大臣が1月7日、「買収は赤字案件だとみる向きがあり難航した」とストリートスクーターの買収を断念したことを発表している。

日本では、ヤマト運輸が、宅配に特化した小型商用電気自動車について、ストリートスクーターと、2年かけて共同開発を行った。しかし、ヤマト運輸の本格運用開始直後の2020 年3 月はじめに、ドイツポストDHLの製造中止が発表されたため、同社では最初の500台導入で輸入を終了している。使い勝手については、「故障が多い、日本の狭い道路に対して車幅が大きい割に積載量が期待したほどでない」、一方で、車両の値段はかなりの高額であったため、現場の意見は厳しめの声が聞かれる。