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2021.09

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年内に法人・官公庁向け卸売サービス開始目指すOneWeb、AT&Tとも戦略的提携を締結
2021年9月14日、OneWebは、新たに34基の低地球軌道(LEO)衛星を打ち上げ、これまでに打ち上げられた衛星は合計322基となり、11月末までにはアラスカ、グリーンランド、ロシア北部を含む北緯50度から北極点にかけてサービス提供を開始する計画。2022年5月または6月までには、計画中の648基の衛星すべてを軌道上に配置し、全世界をカバーする計画。既に第2世代の衛星コンステレーションの開発も進めており、より低いレイテンシやサーマルイメージ機能等が搭載される可能性もある。第2世代のデモ衛星打ち上げは2022年の予定。
 
OneWebは、企業、政府、海事、航空市場、サービス・プロバイダのブロードバンドを補完する選択肢をターゲットとしており、2021年9月8日には、OneWebは、AT&Tと戦略的提携を締結し、OneWebの衛星容量を利用して、AT&T法人顧客の遠隔地での通信を改善すると発表した。
 
これは、AT&Tのファイバー・ネットワークを補完する位置付けで、AT&Tは、ビジネス運用に不可欠な高速、低レイテンシのブロードバンドを提供する既存のネットワークでは到達できない遠隔地域をカバーするため、OneWebのエンタープライズ・グレードの衛星技術を利用して、エリア外の大企業、中小企業、官公庁顧客や、携帯電話基地局へのバックホール向けコネクティビティを提供する。また、災害復旧ソリューションにも利用できる可能性があるという。
 
AT&Tとの提携は、Alaska Communications(2021年6月10日)、英国BT Group(2021年6月27日)、カナダのNorthwestel(2021年8月11日)との提携に続くもの。その他、OneWebは、2021年5月5日、Hughes Network Systemsと米国空軍研究研究所(AFRL)に初の商用サービス提供する契約を締結。Hughesは、OneWebと協力して、北極圏にあるAFRLのサイトを接続するエンドツーエンドのマネージド低地球軌道(LEO)衛星通信サービスの実証を行っている。
 
OneWebとHughesは、2021年8月、OneWebのLEO衛星群と、Hughesの静止軌道(GEO)衛星「Jupiter 2」をリアルタイムでシームレスに切り替えるテストを実施。9月9日には、米国の法人顧客への販売契約と、インド全土にわたる企業、政府、通信事業者、ISP向けサービスの販売契約も締結している。
 
2021年9月21日には、OneWebは、テキサス・ベースの衛星通信サービス企業TrustComm買収手続きをすべて完了、完全子会社となる新会社「OneWeb Technologies」を設立したと発表。TrustCommは、企業や官公庁に対してマネージド衛星サービスを提供しており、新会社もこのミッションを継続。この中には、Five Eyes政府(米英加豪NZ)、北大西洋条約機構(NATO)、国連その他世界のパートナーに衛星コネクティビティを提供することも含まれる。
 
OneWebは、2012年に設立したWorldVueにQualcommとVirgin Groupが出資する合弁会社として2015年に設立。しかし、資金繰りが困難となり、2020年3月には破産保護手続きを申請、2020年11月に英国政府やインドのBharti Globalからの投資により再建された。その後、ソフトバンクやHughes、Eutelsat、韓国Hanwhaからの出資を受け、再建後に調達した資金は27億ドルを超え、評価額は34億ドルとなっている。