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2021.09

  • アメリカ
  • ブロードバンド・ICT基盤整備
ブロードバンド整備に関するFCC委員の発言
FCCのジェシカ・ローゼンウォーセル委員長代行は、9月15日、以前より米国のデジタル・ディバイド解消には、ブロードバンド・サービス料金値下げに政府が取り組む必要があると訴えており、ブロードバンド助成金の資金増を図る連邦議会の動きを歓迎する一方、議会が検討しているサービス料金の割引額の縮小には懐疑的な見方を示した。

連邦議会は、2020年、総額32億ドル規模の「Emergency Broadband Benefit(EBB)」プログラムを承認した。

このプログラムでは、デジタル・ディバイド解消のために、必要な世帯に、毎月のブロードバンド料金を1世帯あたり50ドル(部族居留地では75ドル)割引くものである。

一方、9月末に下院で審議が予定されている1兆ドル規模のインフラ法案では、ブロードバンド関連資金のうち、142億ドルをこのプログラムの拡大に充てるが、現在の案では、毎月の割引額は30ドルに引き下げられる。

ローゼンウォーセル委員長代行は、POLITICOが主催したテック・サミットで、「割引額の引き下げで全ての米国民に手頃な料金のブロードバンド・サービスを提供することは難しくなるが、デジタル・ディバイド解消にはこのような手頃さを実現するためのプログラムが重要であり、議会が提供するものは何でも利用する。」

また、「100%の家庭を高速ブロードバンド・サービスにつなぐことを目指しており、パンデミックが収まった頃には、これが市民生活、コミュニティ、経済をより強いものにするだろう」と述べた1

また、同日、ロードバンドを含めたインフラ整備に充てられる資金についても発言があった。

レンダン・カーFCC委員(民主党)は、コンサルティング会社EconOneが発表した報告書を引用し、ユニバーサルサービス基金(USF)の高度通信補助金の資金を確保するには、大手テクノロジー企業にも拠出を義務付けるのが最善の方法だとの考えを示した 2。EconOneが発表した経済学者のハル・シンガー、テッド・タトス両氏の報告書は、アナログからデジタルへの通信の技術的発展により、現在のUSFの資金集めのメカニズムは保てなくなっており、デジタル・ディバイドの解消には代替方法が必要だと指摘している。

ブロードバンド・プロバイダに手数料を求めてもプロバイダは利用者にこれを転嫁するだけだと主張し、ブロードバンド・ネットワークを利用するGAFAをはじめとしたデジタル広告企業にUSFをシフトするべきだと提案している。

カー委員もこれに対し、減少しつつある従来の通信サービスに頼る従来のやり方は維持不可能であり、無線ブロードバンドを基にする方法に移行しても消費者に負担を強いることになると指摘している。

その代わり、負担を消費者に回すことが困難なグーグルやフェイスブックなどの大手テクノロジー企業にUSFへの拠出を義務付けるべきだとした。

同委員は、大企業は長きにわたり、インターネット・インフラにただ乗りしてきたとし、大手テクノロジー企業に拠出を義務付けることで、消費者の負担を大幅に削減し、また、固定回線ブロードバンドの収益を頼る場合と違って、消費者が支払うインターネット・サービス料金を上げることもないと主張している。

また、同委員は2021年5月に発表した論説でも大手テクノロジー企業のUSF拠出を提言しており、今回、新たな研究結果に基づき、改めてUSFの拠出制度改革を呼びかけた。

1https://www.politico.com/live-events/2021/09/15/politicos-tech-summit-at-a-digital-crossroads-001243
https://www.fcc.gov/document/new-economic-analysis-bolsters-carrs-call-ending-big-techs-free